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◆ 動物に関わる新聞記事(5) kiji161〜kiji200 ◆


 ペットに課税、飼育放棄防ぐ!?民主チーム検討

 民主党税制改正プロジェクトチームは26日、2011年度税制改正に向けた政府への提言案で、犬や猫などペットへの課税を検討課題とすることを求めた。

 ペットの無責任な飼育放棄などが、行政による処分費用の負担など「負の連鎖」につながっているとして、「地方自治体による登録制を導入して課金も行うことなども含め検討を提言する」とした。

 課税を通じてペットの適切な飼育を促し、税収を処分費用に充てることを想定している。民主党関係者は26日、「ペットは家族の一員という人が増えている」と述べ、課税には一定の理解が得られるとの考えを示した。ただ、ペットへの課税は今年度の税制改正論議で検討課題に上っておらず、11年度税制改正で実現するかどうかは不透明だ。

 過去には自民党も、動物を飼ってもすぐ捨ててしまう飼い主を減らすため「ペット税」導入を検討したことがある。

[ 2010/11/27 読売新聞]
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 チワワの桃、警察犬に合格…来年1月から出動!

 奈良県警の嘱託警察犬審査会で、同県桜井市の会社員Kさん(31)が飼育する雌のロングコートチワワ「桃」(7歳)が、合格し、県警が19日発表した。

 県警によると、チワワが嘱託警察犬になるのは極めてまれで、来年1月から災害現場などで活躍する。

 桃は体重3キロの小型犬で、12日に開かれた審査会の「捜索救助の部」に出場。遺留品のにおいを頼りに、5分以内に100メートル四方内にいる要救助者を捜す課題をクリアした。

 桃は訓練士の指導を受け始めた6年前から、機敏な動きで才能の片りんを見せていたといい、県警は「大型犬が入れない現場で活躍して」と期待している。

[ 2010/11/19 読売新聞]
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 ネコの舌使いはエレガント 米研究者ら水飲む仕組み解明

 ネコが水を飲むときの舌の使い方は、科学的にはイヌよりはるかにエレガント――。米マサチューセッツ工科大(MIT)やプリンストン大などの研究者が、高速度撮影できるビデオカメラを使って、ネコが水を飲むしくみを解き明かした。慣性と重力という二つの力を舌で釣り合わせて水柱を作り、口に運んでいた。米科学誌サイエンス電子版で発表する。

 ネコもイヌも長い舌を出し入れして器の水やミルクを飲む。イヌは水の中に舌を差し入れ、先を曲げてひしゃくのようにすくい上げ、がぶがぶと飲むことが知られている。

 一方、ネコは曲げた舌先を水面にわずかにつけ、次の瞬間、引き戻す。その速度が適度だと、慣性で水が引き上げられて重力と釣り合い、水柱ができる。これが崩れないうちにパクッと口に含む。秒速1メートル近くの高速で舌を動かし、毎秒4回ほど舌を出し入れし、毎回0.1ミリリットルほどを口に入れていた。同じネコ科でもトラなど体が大きくなるほど舌の動きが遅いこともわかった。

 日本獣医生命科学大の尼崎肇教授(獣医解剖・組織・発生学)は「舌の構造が食べ物の種類に適応して様々な形状を示すことは知られているが、水の飲み方との関係についての研究は少ない。ネコが舌の上下運動と水の接着性、慣性で水を飲んでいることを解き明かした極めて独創的な研究だ」と話している。

[ 2010/11/12 朝日新聞]
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 ペット犬も新型インフル 家庭内で人から感染? 国内初

 昨季流行した新型の豚インフルエンザに、ペットの犬も感染していたことが、東大農学部の堀本泰介准教授らの調査でわかった。8日に徳島市で開かれた日本ウイルス学会学術集会で発表した。新型インフルによる犬の感染例は米国や中国で確認されていたが、国内は初めてという。

 山口大学(山口県)と麻布大学(神奈川県)の協力を得た。昨年4月から今年7月、両大学の付属の動物病院を骨折などで受診した犬計366匹の血液を調べたところ、14匹が新型インフルに感染していたことが認められた。

 トイプードルやミニチュアダックスフント、チワワなど小型犬が多かった。詳細な犬の症状や受診時に飼い主がインフルエンザにかかっていたかどうかは不明だが、家庭内で人から感染したのではないかとみられている。犬から人に感染する恐れは少ないという。

 堀本准教授は「発症しても自然に治ったか、感染はしたが発症しなかったとみられる。神経質になる必要はないが、インフルに感染している人は飼い犬と濃厚な接触は避けた方がいい」という。

[ 2010/11/09 朝日新聞]
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 公園の一部「犬立ち入るべからず」に賛否の声

 仙台市は来月1日から、市が管理する「七北田公園」(同市泉区)の一部で、犬の立ち入り禁止区域を試験的に設置する。

 市は来年3月末まで公園利用者に賛否を問うアンケート調査を行い、今後の施策に反映させる方針で、来年4月以降に禁止区域の拡大も検討する。市は「衛生面から人と犬のスペースを分ける必要がある」と説明しており、市民からは賛否の声も出ている。

 市によると、禁止区域は、同公園西側にある芝のスペース「わんぱく広場」(約1万1000平方メートル)。ジャングルジムや滑り台などの遊具が設置され、遠足の子どもたちが昼食をとったり、家族連れが寝ころんだりすることも多いという。

 犬の放し飼いが危険だとする指摘や、排せつ物に関する苦情が多く寄せられていることから、市は今年3月から対応を検討。市の調査では、東京都や札幌市など全国で少なくとも8自治体が一部公園で犬の立ち入りを禁止していたため、仙台市でも試行的に禁止区域を設け、乳幼児の利用が多い同公園で試行することにした。

[ 2010/10/30 読売新聞]
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 ペットブームの陰、増える障害犬…無理な交配で

 ペットブームの陰で障害を抱えた飼い犬が増えている。

 人気種は需要に応じるために近親間の交配を繰り返すなどするためで、動物病院では椎間板(ついかんばん)ヘルニアやアトピー性皮膚炎といった病気の犬の診察がこの5、6年で急増しているという。日本畜犬遺伝性疾患協会=本部・麻布大(神奈川県相模原市)=は、「障害犬のことをもっと広く知ってほしい」としている。

 福岡市城南区の博多人形師、Tさん夫妻が飼う雌のダルメシアン「イブ」は、耳が聞こえない。ちょうど10年前、生後1〜2か月の時にペットショップで購入した直後に障害に気づいた。そばで掃除機をかけても全く反応しなかったからだ。

 交換してもらうことも考えたが、保健所に引き渡され殺されるかもしれないと思い、飼い続けることに。イブに手の動きを覚えさせ、パーは「待て」、そのまま手を下げると「お座り」、グーは「だめ」、床をたたくとこちらを向く。

 性格はおとなしく、Tさんの孫を背中に乗せたり、一緒に飼っている猫の体調が悪いと体をなめたりと、すっかり家族の一員だ。「人間の顔を見て求められていることを考えているようだ」とTさんも「家族に幸せをくれた」と感謝している。

 しかし、こうした幸せな犬ばかりではない。2008年度、保健所などに持ち込まれた犬は全国で約11万3000頭。うち約8万2000頭が殺処分された。このうち障害犬の数は把握できていないが、日本畜犬遺伝性疾患協会などによると、珍しい毛色や特長を出すために父犬と娘犬を交配させたり、知識のない飼い主が安易に妊娠させたりして多種多様な遺伝病が広がっているという。

 広島市のNPO法人「犬猫みなしご救援隊」代表で、動物病院看護師のNさんは、「安易な交配で生まれた売り物にならない障害犬を、うその理由で保健所に持ち込む繁殖家や飼い主もいる」と語る。

 同協会は「遺伝病を避けるための法規制を急ぐべきだ」と指摘している。

[ 2010/10/04 読売新聞]
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 狂犬病予防注射会場で愛犬かみ殺される

 愛知県春日井市が実施した狂犬病の予防注射の会場で、愛犬を中型犬にかみ殺されたのは、市職員らが適切な措置を怠ったためとして、飼い主の男性が市などを相手取り、計約140万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こしたことがわかった。

 厚生労働省結核感染症課は、「予防注射会場で犬がかみ殺されるトラブルは聞いたことがない」としている。

 訴状によると、男性の妻が今年4月、同市総合福祉センターで行われた予防注射に、雄のヨークシャーテリア(当時2歳)を連れて行った。料金を支払う際、後ろに並んでいた、5倍の体重差がある雑種の中型犬が首にかみついて振り回し、死なせたという。

 男性側は、狂犬病予防法で飼い犬に毎年1回、予防注射が義務付けられていることなどから、「市側には、犬が興奮して暴れないよう飼い主に適切な指示を与えたり誘導したりする義務があった」と主張。「家族の一員のように育ててきた愛犬を無残にかみ殺された」として、市と中型犬の飼い主に、慰謝料100万円や購入代金などの支払いを求めた。訴訟で市側は「犬同士が接触しないようにするのは飼い主の義務」と反論。中型犬の飼い主は「相手の犬が近付いてきたのが原因」などと述べ、請求棄却を求めている。

[ 2010/09/14 読売新聞]
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 ネコ餌づけ、カラス集まれば罰金 大阪・箕面市が条例案

 大阪府箕面市が、カラスに継続的に餌をやって周辺に被害を与えた住民に罰金を科す条例の制定を検討していることがわかった。市の是正命令に反せば5万円以下、調査を拒めば10万円以下の罰金となる見込み。条例案は12月議会に提案し、来年4月からの施行を目指す。

 「箕面市カラスによる被害の防止及び生活環境を守る条例」(仮称)案で、鳴き声や糞尿(ふんにょう)などのカラス被害が発生している場所で繰り返し餌を与えることを「迷惑行為」と認定して禁止し、餌の回収を義務づける。

 住民から被害の相談があれば市職員が現地調査し、違反があれば是正勧告、命令を順次出し、それでも従わなければ氏名を公表して警察に告発する。犬や猫など他の動物に与えた餌や生ごみを放置するなど、結果的にカラスに餌を与えている行為も禁止する。

 箕面市では7年ほど前から市内の桜井地区でごみ袋が荒らされ、糞で軒先が汚されるカラス被害が相次いだ。お年寄りが与えた猫の餌を狙ってカラスが増え、付近の大木に居着いたのが原因だった。市の担当者は「住民にカラスへの餌やりをやめてほしいと言っても、『何も悪いことはしていない』と言われて対処に困っていた」と話す。

 昨年、市職員らの対策チームが、鏡で日光を反射してカラスを驚かせるなどし、飛来数を約240羽から約40羽に減らすことができた。条例でさらにカラスが集まる原因を断つのが目的という。市によると、動物への餌やりに過料や罰金を科す条例は全国でも数例。カラスが対象の条例は東京都荒川区のみという。

 箕面市では今年4月から、箕面山に生息する国の天然記念物・野生のニホンザルへの餌やりに過料1万円を科す条例を施行した。2〜3年に1度しか出産しないサルが観光客の餌でカロリーを摂取しすぎて毎年出産。個体数が増えすぎて管理が難しくなってきており、人慣れしたサルが観光客を襲うトラブルになる恐れがあることから、サルの自然な生態を維持するために勝手な餌やり行為を禁止している。

[ 2010/08/17 朝日新聞]
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 犬を劣悪環境で飼育、ブリーダー登録取り消し

 繁殖用に飼っている小型犬約70匹の管理が不適切だったとして、徳島県は8日、徳島市のブリーダーT(82)に対して、動物愛護管理法に基づいて動物取扱業者の登録を取り消す行政処分をした。

 数年にわたって定期的にケージの掃除をせず、劣悪な環境で小型犬を飼育していたという。取り消しは最も重い行政処分で、環境省によると全国初。

 県によると、県動物愛護管理センターが3月中旬、「異様な鳴き声がする。動物虐待では」との通報を受け、業者宅を立ち入り調査。施設内にチワワ、シーズーなど小型犬約90匹がケージで飼われ、それらの床には汚物が積もり、犬も汚れていた。

 業者は2007年の登録時は30匹を飼育。当時の県の立ち入り検査では、問題はなかったという。

 県は、同法に基づいて改善を勧告したが、業者が改めないため、6月17日に業務停止を命令。業者は犬の譲渡を進め、6月末現在で67匹に減ったが、飼育環境は改善しなかったため、登録取り消しを決めた。取り消し日から2年間は再登録できず、営業できない。

 県は「犬たちを劣悪な環境から一日も早く助けたい」といい、犬を保護して同センターに一時収容する予定。犬の清掃や健康診断、飼い主探しに民間団体や県獣医師会の協力を求めていく。県内のほかの登録業者にも、緊急立ち入り検査を行っている。

 環境省は「二度と同じような違法業者を出さないためにも、厳格な対応が必要。県の処分は適切だった」と評価している。

[ 2010/07/09 読売新聞]
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 まず話し合い、残飯はだめ…野良猫と共生、環境省が指針

 野良猫を巡るトラブルを防ぐため環境省は、地域住民が協力して野良猫を「地域猫」として管理する活動の支援に乗り出した。各地の自治体の取り組みや成功事例を調べて指針にまとめた。

 指針では
(1)猫が苦手な人も含めて地域でしっかり話し合う
(2)餌はキャットフードのみ。
   残飯だと人間の食べ物の味を覚えてゴミをあさるようになる
(3)害虫の発生につながるので餌や容器は置きっぱなしにしない
(4)住民の理解が得られる場所にトイレを作り、定期的に掃除
(5)不妊・去勢手術をした猫は耳のピアスなど目印をつける
――などを助言している。

 指針は、不妊・去勢手術を進め、殺処分される猫の数を減らす狙いがある。猫を飼えないが餌はやりたい人と、住環境を守りたい人の融和にも効果を期待している。

 指針は環境省のサイト内の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2202.pdf)で見られる。
 (以下割愛)

[ 2010/05/15 朝日新聞]
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 東京・三鷹の「猫に餌やり」訴訟:餌付け「禁止」 慰謝料204万円

 餌付けで集まった野良猫のふん尿などで被害を受けたとして、東京都三鷹市の住民17人と管理組合が同じ集合住宅に住む将棋の元名人、K九段(70)に餌付けの中止と慰謝料など645万円の賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁立川支部(市川正巳裁判長)であった。市川裁判長は、餌付けの差し止めと計204万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、K氏は2階建ての棟割り形式のタウンハウス前の通路や庭で集合住宅の管理規約に反して餌付けを始め、02年ごろには集まる野良猫が18匹に達した。他の住民は猫のふん尿による悪臭や自動車に傷がつくなどの被害を受けた。再三の抗議にもかかわらず、K氏は餌付けを継続した。市川裁判長は「餌付けは原告の人格権を侵害し違法」と指摘した。

 訴訟では、「他の居住者に迷惑を及ぼすおそれのある動物を飼育しない」と定めた管理規約に違反するかどうかなどが争点となった。判決は「餌付けは飼育の域に達し、さまざまな被害を及ぼしており違反」と認定。さらにK氏が費用を一部負担し不妊・去勢手術を施し4匹まで減らしたことを認めたものの、「被害はまだ続いている」とした。

 K氏は、「(野良猫に)一日でも長く生きてほしいとやってきたことが裏目に出た。理解に苦しむ判決だ。(訴訟の対象外の)敷地外での餌付けは続ける」と話し、控訴する意向を示した。
 (以下割愛)

[ 2010/05/14 毎日新聞]
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 ペット葬祭業の制度化検討へ 環境相、死体遺棄事件受け

 埼玉県飯能市の山林で約100匹の犬や猫の死体が見つかり、動物葬祭業者がそのうちの犬1匹を捨てた疑いで逮捕された問題で、小沢鋭仁環境相は13日の閣議後会見で「法律を見直さないといけないところがある」と述べ、葬祭業の許可制など新たな制度を検討する考えを明らかにした。

 埼玉の事件では今月7日、飼い主から火葬を委託された犬の死体を不法に捨てたとして、廃棄物処理法違反の疑いで業者が逮捕された。業者は「火葬経費を浮かせるため」と供述しているとされる。

 ペットの葬祭業をめぐっては法的な取り決めがなく、火葬や埋葬業の届け出などは必要ない。各地でトラブルが起こっていることから、条例で許可制度を定めている自治体もある。小沢環境相は「(国としても)早急な対応が必要。法改正をできることから始めていきたい」と述べた。

 2011年の動物愛護法改正に向けた議論の中で、ペットの移動販売など広がりを見せるペットビジネスに対する規制や登録制度なども含めて総合的に検討。必要に応じて、廃棄物処理法など他の法改正も視野に入れる考えだ。

[ 2010/04/13 朝日新聞]
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 盲導犬の価値認める 事故死294万円賠償命令

 視覚障害の男性と盲導犬がトラックにはねられ、盲導犬が即死した事故で、盲導犬を育成し、無償で貸与していた財団法人「中部盲導犬協会」(名古屋市港区)が、高知県内のトラック運転手と運送会社に計607万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、名古屋地裁であった。松田敦子裁判官は「盲導犬は視覚障害者の目の代わりとなり、精神的な支えともなっている。その価値は白杖(はくじょう)とは明らかに異なり、育成に要した費用をもとに考えるべきだ」として、計294万円の支払いを命じた。

 男性が盲導犬を失い精神的苦痛を被ったとして計220万円の損害賠償を求めた訴えについては、「後遺障害の逸失利益などの示談が成立しており、改めて賠償を求めることはできない」として、棄却した。原告弁護人によると、盲導犬の交通事故をめぐる判決は全国初という。

 松田裁判官は盲導犬の価値について、「盲導犬としての特別な技能を付与され、付加価値を得ている」として、「盲導犬は歩行補助具にすぎない」とする運転手側の主張を退けた。

 その上で、損害額を検討。同協会の1頭あたりの育成費用(453万円)や、盲導犬の平均的な活動期間(10年)から、事故で即死した盲導犬が残り5年間は活動できたと認めた。単純計算で約230万円となるが、「男性との共同生活の中で経験を積み、貸与時と比べて高い技能を身につけていた」と判断。約30万円を上積みし、260万円と算定した。

 判決によると、事故は2005年9月26日午前10時ごろ起きた。静岡県吉田町の交差点で、近くに住む熊沢尚(たかし)さん(74)と、ラブラドルレトリバーの盲導犬「サフィー」(当時6)が右折してきたトラックにはねられた。熊沢さんは頭などに重傷、サフィーは熊沢さんをかばう形でトラックとぶつかり即死した。

 同協会は盲導犬の特殊性と希少性を主張。一方、運転手側は同犬種の子犬の価格(10万円)など計20万円が損害と反論していた。

[ 2010/03/07 朝日新聞]
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 水銀灯折れ女児けが、原因は犬の排せつ物

 鹿児島市星ヶ峯の市営住宅で昨年4月、小学5年の女児(当時11歳)が、折れた水銀灯(高さ約4・5メートル)の鉄製支柱に当たり、けがをする事故があり、鹿児島市は8日、犬の排せつ物によって支柱の腐食が進行し、折れた可能性が高いと発表した。

 市は、水銀灯の管理責任を認めて女児側に謝罪し、今年1月末に慰謝料など計2万6050円を支払った。

 市住宅課によると、事故は昨年4月19日夕に発生。女児が住宅敷地内の水銀灯に寄りかかったところ、支柱が根元から折れた。支柱は、はずみで女児の右足に当たり、軽い打撲を負った。

 水銀灯は1984年に設置。同課が住民らに聞いたところ、散歩中の犬が支柱の根元で頻繁に排せつをしていたという。周囲の水銀灯に比べて腐食が激しかったことから、同課は「排せつ物で腐食が進行し、事故につながった」とみている。

 市は事故後、市内のすべての水銀灯約1700本を点検。18本を交換し、約600本にさび止めを塗り直した。

[ 2010/02/08 読売新聞]
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 モンキードッグ:猿…困った 農作物に被害、飼い犬で退治に挑戦

 「犬猿の仲」を利用して、ニホンザルによる農作物被害を防ぐ取り組みが広がっている。農家の飼い犬を訓練し、猿を追い払わせる「モンキードッグ」の導入だ。深刻な悩みを愛犬は解決できるだろうか。

 昨年11月中旬、山梨県は初めて、モンキードッグの研修会を開き、飼い主約30人と訓練中の犬10匹が参加した。県内の自治体や農協職員ら約50人が見守る中、飼い主に連れられた犬が山に入って30分。「キーキー」という鳴き声を残し、猿の群れが林の奥へ去っていった。県農業技術課によると、芋類やトウモロコシなど、猿に食い荒らされる被害は年間約7000万円。他の動物による被害が減る中、猿だけは横ばいが続く。人を怖がらず、電気の流れる柵も巧みに避ける。そうした知恵が猿にはあるようだ。

 トレーニングでは、犬に猿のにおいを覚えさせ、猿に気付いたらほえ、追いかけさせる。NPO法人「地域交流センター」(東京都)でインストラクターを務める長野県小諸市の獣医師、Yaさん(56)によると、犬種は問わないが小型犬は向かない。「愛犬が猿を追い払ったら、思いっきり喜んでもらいます」。飼い主の協力も不可欠だ。同センターのYoさん(66)は「猿は犬自体を嫌うのではなく、犬の攻撃的な行動を警戒するようだ」と話す。

 岩手県釜石市や三重県松阪市などもモンキードッグの訓練を始めた。全国で初めて予算化した長野県大町市は05年以降、毎年3〜4匹を訓練し、現在は19匹が市内各所の畑を守っている。ただし、今のところは劇的な効果をあげていない。「猿は犬のいる畑を避け、隣の畑を荒らす。すべての畑に犬を配置できない」(同市)からだ。攻撃されないと分かれば、猿は犬を怖がらなくなる。

 Yoさんも「犬だけでは限界がある」と話す。猿は見張りを置くなど組織的に動く。「人と犬が地域全体のチームワークで対抗しないと」。人と犬、柵による対策を組み合わせるなど、猿との知恵比べはまだ続きそうだ。

[ 2010/01/18 朝日新聞]
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 動物で最長、アジサシの渡りは毎年8万キロ

 カモメの仲間のアジサシは毎年、北極と南極の間を8万キロ・メートル以上も移動していることを欧州の研究チームが突き止めた。これまで考えられていた距離の倍で、動物で最長の季節移動という。米科学アカデミー紀要に11日、発表する。

 研究チームは2007年夏、北極圏のグリーンランドなどで繁殖するキョクアジサシ(体重約120グラム)70羽の足に、日照時間を記録する小型機器(約2グラム)を取りつけた。このうち11羽を翌年捕まえて機器を回収した。

 アジサシは秋に繁殖地を出発。北半球の冬にあたる季節を南極周辺のエサ場で過ごし、春には、大西洋上を吹く風に乗ってS字を描くように北極圏に帰郷した。移動距離は往復で約6〜8万キロ・メートルに達し、1日670キロ・メートル飛んだ個体もあった。星の位置や地磁気、においを頼りにルートを決めるらしい。グリーンランド自然資源研究所のK博士は「極域はエサが豊富なため、信じられない距離を往復する価値があるのだろう」としている。

[ 2010/01/12 読売新聞]
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 救われた犬や猫たちの写真展開催

 保健所などに収容された犬猫のうち命を取り留めるのは1割強。多くは殺処分される。07年度は全国で約30万匹が殺された――。
 府動物愛護推進員のUさん(51)=茨木市=らが、愛護団体などを通じて家庭に迎え入れられ、新たな生活を送っている犬や猫の姿を紹介する写真展「命を救ってくれてありがとう」を29日から茨木市立中央図書館で開く。20日からは動物愛護週間。

 展示されるのは約40点。どれも犬や猫が幸せいっぱいの様子で写っている。

 府が昨年1千人に実施したアンケートによると、犬や猫を飼っている人のうち、「保健所などに引き取られた動物を譲り受けた」との回答は1・6%だった。Uさんは「お金を出さなくても、命を救える方法がある。ペットショップ以外にも出会いの選択肢があることを知ってほしい」。その上で「今は動物の寿命も延びている。その子の一生を責任持って引き受けられるのか、厳しく自問してから迎え入れて」と注文をつける。

 里親募集のインターネットサイトでは最近、チワワやミニチュアダックスフントなど純血種の小型犬の引き取りを求める書き込みが増えたという。一時は人気を博した犬種が飽きられ、手放されるのだという。

[ 2009/09/21 朝日新聞]
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 「野良猫に餌やらないで」注意した隣人刺殺 70歳容疑者逮捕

 27日午後1時40分ごろ千葉県船橋市習志野台1の住宅街で「女性が刺されて路上で倒れている」と付近住民から110番があった。県警船橋東署員が駆け付けたところ、自宅そばで無職、Oさん(64)が血を流して倒れていた。隣に住む無職、H容疑者(70)が包丁(刃渡り約26センチ)を持って傍らに立っており、同署は殺人未遂と銃刀法違反容疑の現行犯で逮捕した。Oさんは約1時間半後に搬送先の病院で死亡、同署は殺人容疑に切り替えて調べている。H容疑者は「猫のことで注意され腹が立った」と供述し、容疑を認めているという。

 同署などによると、H容疑者はアパートに1人暮らしで1〜2年前から野良猫に餌をやっていた。最近は10匹以上の野良猫が集まるようになり、建物周辺にフンをするなど近隣住民とトラブルになっていた。Oさんは何度も「猫に餌をやらないで」と注意したが、H容疑者は聞き入れなかったという。事件があった27日は、Oさんが外出先から戻るのを自室で酒を飲んでいたH容疑者が見かけ、包丁を持ち出してOさんの腹を2回刺したらしい。

 現場は新京成線高根木戸駅の南東約300メートル。近所の主婦(50)によると、猫を巡るトラブルに関して、H容疑者はOさんに「ゴタゴタ言うんじゃねえ」と激怒。町会の事務員にも「これ以上何か言われるんだったら、何をするかわからないぞ」と怒鳴ったことがあったという。また事件の約1カ月前、Oさんが自宅の周囲に消毒液をまくと、H容疑者が「薬まいて猫殺す気か」と怒り、言い争いになったという。

[ 2009/08/28 毎日新聞]
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 狂犬病:予防接種わずか4割 侵入許せば流行も

 狂犬病予防法に基づき、すべての飼い犬に義務付けられている狂犬病の予防ワクチン接種率が実際には約4割にとどまることが、日本獣医師会などの調査で分かった。国内感染による狂犬病は50年以上発生していないが、年間約3000人が死亡する中国をはじめ、周辺のアジア各国は発生数が多い汚染地帯。専門家は「いつ日本に侵入してもおかしくない。このまま低い接種率が続けば、侵入後は国内での流行を阻止できない」と警告する。

 国内では1950年に狂犬病予防法が施行され、飼い犬の市町村への登録と年1回のワクチン接種が義務化された。国内で犬にかまれて発症した狂犬病患者は54年を最後に確認されていない。

 半世紀以上、国内発生がないことが人々の危機意識を弱め、近年は登録率、ワクチン接種率とも低下。ペットフード協会の調査による国内の犬の飼育匹数(07年度)は推定1252万匹に上る。そのうち厚生労働省調査による市町村への登録匹数は約674万匹、ワクチンを接種した犬は約510万匹にとどまる。登録率は54%、接種率は41%の低さだ。

 獣医師会の大森伸男専務理事は「マンションなどでの室内飼育が増え、感染の危険性がないと思い込んでいる飼い主が増えているのではないか」と話す。

 世界的には発生が続き、毎年3万〜5万人が死亡。特にアジアでは中国やインド、東南アジア、韓国で発生。インドネシアのバリ島では昨年11月に初の感染犬が確認された後、島内に感染が拡大。在デンパサール総領事館によると、今年4月ごろまで狂犬病による死者や、犬にかまれて病院に駆け込む人が相次ぎ、多くの野良犬が殺処分されたという。

[ 2009/07/25 毎日新聞]
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 短足は遺伝子のせい 19犬種に共通、米チーム発見

 ダックスフントやコーギーなどの犬種で脚を短くすることに関係している遺伝子を、米国の研究チームが見つけた。この遺伝子は少なくとも19の短足犬種で共通していた。米科学誌サイエンス(電子版)で発表した。

 犬はひとつの種なのに体格など形態の違いが大きいのが特徴で、350以上の犬種がある。チームはこうした犬の形態の特徴と遺伝子との関係を調べようと、ダックスフントなどの短足犬種8種と、短足でない犬種64種で、DNAの塩基配列のわずかな差(SNP)を分析した。

 すると「線維芽細胞成長因子(FGF)4」というたんぱく質をつくる遺伝子の配列が重複する変異が、短足犬種だけで認められた。このたんぱく質は人間の軟骨形成不全症(低身長症)との関連も指摘されている。その後の研究で、少なくとも19の短足犬種に同様の変異を確認した。チームは、この変異は現代の犬種が形づくられる以前に起きたとみている。

[ 2009/07/18 朝日新聞]
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 過失傷害:犬かみつき軽傷、容疑の飼い主書類送検

 飼い犬から目を離したすきに、犬が近所の女性にかみついてけがをさせたとして、愛知県警西枇杷島署は25日、北名古屋市の無職の男(72)を過失傷害容疑で名古屋区検に書類送検した。

 容疑は昨年9月11日午前8時20分ごろ、飼い犬でシェパードの成犬(体重35キロ)の散歩帰りに自宅車庫のシャッターを閉めようとリードを左手にかけたところ、リードを振り切った犬が通りかかった近所の無職女性(66)に飛びかかりかみついたとしている。

 女性は左腹部をかまれ軽いけがをした。この犬は昨年4月にも近所の女性や飼い犬にかみついており、同署が男に指導していた。

[ 2009/06/25 毎日新聞]
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 米にペット専用機就航 空調つき客室 特別乗務員が世話

 犬や猫などペットだけを乗せる米国初の航空会社ペットエアウェイズが7月から運航を開始する。荷物室ではなく、照明つきで空調も利いた客室で過ごすことができ、特別に訓練を受けた人間の「ペットアテンダント」が15分おきに見回ってくれる。

 人間の近距離輸送に使われている19人乗りプロペラ機の座席と荷物入れを取り外し、ペット用のカゴを装備。飼い主は同乗できず、出発地の空港の「ペットラウンジ」にペットを連れて行き、目的地で迎える。マイレージサービスに当たる「ペットポイント」もある。ただし、機内食や飲み物のサービスはない。飛行機が揺れたりするとペットが吐き気を催したりするためだ。

 まず、5都市を結ぶ便を週1回運航。今後、就航都市を増やしていく。運賃はニューヨークからシカゴへは片道149ドル(約1万4千円)、ロサンゼルスへは199ドル。 ペットの種類(現在は犬と猫のみ)、名前や体長や体重などを記入して予約する。

 米国の航空会社では、通常、ペットは座席の下か荷物室に入れられ、運賃は100〜200ドル程度かかる。創業者は、こうした飼い犬の扱いに我慢ができず、会社設立を決意した。 米紙USAトゥデーによると、米国ではペット市場拡大をにらみ、ペットの搭乗を認める航空会社が増えている。

[ 2009/06/22 朝日新聞]
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 犬専用の抗がん剤、米FDAが初承認 6割で縮小・消失

 米食品医薬品局(FDA)は、犬の皮膚にできるがんの一種、肥満細胞腫の治療に使う抗がん剤を承認した。犬専用の抗がん剤の承認は米国で初めて。これまでは人間用の抗がん剤を転用しており、「動物医療における重要な前進」(FDA)としている。

 この薬は米製薬大手ファイザーの動物用医薬品部門が開発した「パレイディア」。FDAが3日付で承認した。

 錠剤で、がん細胞を殺すほか、がん細胞に栄養を運ぶ血管ができるのを防ぐ。犬による臨床試験では、6割の犬で、がんが小さくなったり、消えたりすることが確かめられた。治療では、獣医師が処方し、獣医師か飼い主らが犬に飲ませることになる。

 米獣医学協会によると、ペットががんになることは珍しくなく、10歳を超えた犬や猫の半数はがんで死んでいる。また、ファイザーによると、米国では毎年120万匹の犬ががんにかかっている。

 手術や放射線療法、抗がん剤による化学療法などが行われているが、現実には人間用の抗がん剤が「安全性や有効性がよくわからないまま」(FDA)使われていた。

[ 2009/06/08 朝日新聞]
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 「仲間」に誘われ、増えてます 伊豆・鳥島のアホウドリ

 1949年の絶滅宣言から60年。伊豆諸島・鳥島で育つ国の特別天然記念物アホウドリのヒナが初めて300羽を超えたことが長谷川博・東邦大教授の調査でわかった。

 昨年12月の調査では島全体で418個の卵があった。4月からの今回の調査で306羽のヒナが育っているのを確認した。2月に小笠原諸島・聟島(むこじま)に15羽移送しているので鳥島生まれのヒナは321羽となる。移送した15羽を除いた繁殖成功率も73%を超え、長谷川教授が調査を始めた76年以降で最高となった。

 島の南側にある従来の営巣地は火山灰が流れて不安定なため、92年から島の北西斜面にデコイ(模型)を置いてアホウドリを呼び寄せていた。その新営巣地でも37羽のヒナが育ち、順調に新営巣地のアホウドリが増えている。無事に巣立つと鳥島のアホウドリは推定2360羽となる。

 ただ、新営巣地はまだ50つがい。長谷川教授は「従来の営巣地には常に砂が流れ込む危険があり、保全を続けることが大切」と話す。

[ 2009/05/13 朝日新聞]
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 犬の顔は飼い主に似る?大学教授らが「顔面相似」調査

 犬の顔は、やっぱり飼い主に似る?――。関西学院大(兵庫県西宮市)の研究グループがペットと人間の「顔面相似」に関する調査結果をまとめた。

 同様の調査は海外にもあるが、外国人より顔つきの違いが少ないとされる日本人を対象にした実験は初めて。論文は、英国の国際学術誌「アンスロズーズ」6月号に掲載される。

 文学部総合心理科学科の中島定彦教授(動物心理学)ら。愛犬団体の催しで、シバ犬やポメラニアン、パグなど40頭と、20〜60歳代の飼い主40人を無作為に選んで顔写真を撮影し、犬と飼い主を正しく並べた顔写真20組と、わざと違えて並べた20組を用意。学生186人に見せたところ、62%の学生が「前者が正しい組み合わせ」と回答。別の学生187人も、66%が前者を選んだ。

 長い髪の女性は垂れ耳の犬を選び、短い髪の女性は立ち耳を選ぶ傾向があったといい、中島教授は「人は見慣れたものに好感を抱くため、自分の顔とよく似た犬を飼い犬に選ぶ傾向があるのでは」と話している。

[ 2009/05/12 読売新聞]
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 クマ「人慣れ」?里で被害増加 お目覚め時、要注意

 暖かくなり、山菜採りや渓流釣りなどで山に入るときに注意しなければいけないのが冬眠から目覚めたクマだ。最近は「人慣れ」したからか、人里まで出てくるケースも増えてきた。クマよけの鈴を普段から持ち歩くわけにもいかず、対策は難しい。

 岩手県自然保護課によると、08年度のツキノワグマによる人身被害は9件で10人。そのうち、山林などクマの生活圏以外で襲われたのは、北上市和賀町や滝沢村などで5件あり、半数以上を占めた。

 クマの生態に詳しい岩手大農学部の青井俊樹教授は「人間とクマのすみ分けが崩れ始め、山以外での被害が増えている」と指摘。間伐されずに荒れた山が増えてエサが少なくなったり、少子高齢化で中山間地に住む人がいなくなったりしたことが原因。クマと人間との境界線がなくなりつつあるという。青井教授は「人間のパワーで野生動物を押し返すことができなくなった」と話す。

 一方で、人里で起きるクマ被害への特効薬は少ない。山に入る時は鈴やラジオなどで音を出すことで人の存在を知らせることが有効だが、人間の生活圏に下りてきたクマと遭遇しないようにするのは困難だ。青井教授は「中山間地が活性化することが根本的な対策になるのだが、それも難しい」と話す。

 県自然保護課の佐藤宗孝主査は「もし出合ってしまったら、背中をむけて逃げてはいけない」。目をそらさず、後ずさりするように距離をとり、手荷物などを間に置いて関心をそらすのがいいという。「死んだふり」は「しつこく攻撃されることもあり、危ない」と話した。

[ 2009/04/19 朝日新聞]
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 ラナウイルス:カエルが大量死 08年秋、国内で初確認

 北米などで両生類に大きな被害を出しているラナウイルスが、国内でも野生のカエルに感染し大量死を起こしていたことが、宇根有美・麻布大准教授の調査で分かった。動物の感染症対策に取り組む国際獣疫事務局(OIE)が世界中に注意を呼び掛ける感染症で、国内で確認されたのは初めて。

 宇根准教授によると、オタマジャクシからカエルに成長する途中のウシガエルの死骸(しがい)が08年9月上旬、国内の1カ所の池で大量に見つかった。同月下旬には1日だけで数千匹の死骸が確認され、10月末にラナウイルスと確認された。池は消毒など感染拡大防止措置をとったが、数万匹のウシガエルが死んだという。確認された地域は公表していない。

 ラナウイルスの仲間は90年代から、国内で海水の養殖魚にしばしば大量死をもたらしたが、今回は周辺の魚で感染死は確認されていない。ヒトが感染する恐れはない。国内で両生類に影響する病原体には06年に確認されたツボカビがある。ツボカビはオタマジャクシでは発症しないが、ラナウイルスは成長途中のカエルで発症する点に特徴がある。

 検出されたラナウイルスのDNAは台湾で発見されたタイプと似ているが、感染経路は特定できていない。宇根准教授は「これから暖かくなってカエルの活動が活発になる。警戒を強めたい」と話す。

[ 2009/03/05 毎日新聞]
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 美犬の基準、愛らしさより健康重視に 英団体変更

 しわくちゃ顔でほおが垂れ、鼻ぺちゃ。こんなブルドッグの姿が変わってしまうかもしれない。人の好みの純血犬をつくろうと交配を繰り返した結果、犬の健康に問題が出始めたため、英国の愛犬家団体が犬の審査基準を健康重視に変えた。人が、数百年にわたってつくってきた純血犬の美の基準が変わりそうだ。

 この団体は世界最古の愛犬家団体、英ケネルクラブ(KC=1873年設立)。英国ゆかりのブルドッグやラブラドルレトリバーなど76犬種の審査基準のうち209項目の変更を決めた。3月に英国で主催する世界最大級のドッグショー「クラフツ」で新基準を適用する。

 日本をはじめ、84の国・地域が加盟する国際畜犬連盟(FCI)には約340種の純血犬が登録されている。KCは未加盟だが、FCIは犬の原産国の基準を重視するため、KCの基準変更の影響は大きい。

 各国のブリーダーや愛犬家はそれぞれの国のケネルクラブが催すドッグショーで優勝できる犬づくりをめざして交配を計画するため、審査基準が変わると犬のスタイルは徐々に変わることになる。

 犬は、近親間や若齢間での交配を繰り返すと、体の末端の萎縮(いしゅく)が起こる。人の好みで、鼻がぺちゃんこになったブルドッグやパグはその代償として呼吸困難気味で体温調節が苦手だ。それでも、しわやほおのたるみなどの特徴を誇張する交配が続き、重い障害が問題になってきた。

 このため、KCは5年前から基準変更の検討をしていた。新基準では、ブルドッグはほおの垂れ下がりを減らし、少し長めの脚、やや細めの体を求めた。厚い毛に覆われているチャウチャウは「毛が多すぎることで活動が妨げられず、いつも自由に動け、暑さで苦しまないように」の記述を追加。ダックスフントは目などの障害が遺伝的に出やすい白斑の入ったダブルダップルという毛色の犬は認めないとの規定を盛り込んだ。

 日本のジャパンケネルクラブ(JKC)で犬の基準を検討する福山英也・ヤマザキ動物看護短大元教授は「人は犬に芸術性も求めており、犬の健康とのかねあいは難しい。しかし、FCIが基準変更に動けばJKCも検討せざるをえない」と話している。

 主な犬種の審査基準の変更点(英ケンネルクラブによる)
 ブルドッグ:「上唇が両あごより下に垂れ下がる」という表記削除
 パグ:「過剰な鼻のしわは認められない」を追加
 シーズー:「毛によって犬の視覚に影響が出ないように」を追加
 チャウチャウ:「ぎこちない歩き方」を削除
 ダックスフント:「体と地面の間が自由に動ける余裕があるように」を追加

[ 2009/02/12 朝日新聞]
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 スズメ:国内生息数、半世紀前の1割に 全国調査で判明

 国内のスズメの生息数が1800万羽にとどまることが、立教大理学部の三上修・特別研究員の調査で分かった。餌場の田畑と、巣を作る木造家屋の減少などにより、最近20年足らずで最大80%、半世紀前との比較では90%も減少したとみられる。スズメの生息数を全国レベルで推計した調査は初めて。

 調査は08年5、6月に実施。気候の偏りなどを考慮して秋田、埼玉、熊本の3県を調査地に選び、住宅地・農村・森林など五つの生息環境について巣の平均密度を算出。国土交通省が持つ建物用地や森林などの面積データとの比率を基に、巣は全国に約900万個あり、個体数はつがいで約1800万羽と推定した。

 減少率は農作物の被害面積や、有害鳥獣駆除数の推移などから推定。個体数は90年以降80〜50%程度減り、60年ごろとの比較では10分の1になった可能性もあると結論付けた。

 三上特別研究員は「まだ保全の緊急性が高いとは言えないが、個体数の変化をモニタリングし、減少の原因を突き止める必要がある」と話している。

[ 2009/02/03 毎日新聞]
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 有害ペットフード防げ 緊急連絡網整備へ 農水・環境省

 ペットの食中毒情報を全国から素早く集めて対応するため、農林水産省と環境省は09年度から、緊急連絡網の整備に乗り出す。有害なペットフードが流通しないようにする狙いで愛玩動物用飼料安全性確保法が6月に施行されるのを受けて、食べ物による異常を早期発見できる態勢をペットフードでも整える。

 新しい連絡網「ペットフード・リスク情報ネットワークシステム」は、全国の獣医師をつないで情報を集める。ペットの異常を訴える飼い主から、症状や食べたペットフードの情報を得てシステムに入力。他の獣医師の情報で類似した事案があれば、両省が調査に乗り出す。有害物質が含まれるなど違反が見つかった場合は回収や販売中止を命じる。09年度に運用方法を検討し、早ければ10年度にも試行する。

 07年春に北米でメラミンが混入したペットフードを食べた犬や猫が大量死したのを受けて、政府は08年に安全法を制定。それまで業界の自主基準はあったが、国がペットフードの製造・表示方法に基準を定め、罰則を設けて取り締まれるようにした。

 ペットフードの安全性には消費者の関心も高く、両省が実施した国民意識調査では、約8割が「食品と同様か一般の商品以上の安全の確保を進めるべきだ」と答えている。

[ 2009/01/20 朝日新聞]
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 犬射殺:警察官が発砲 散歩中の男性襲われ 愛知・稲沢

 10日午後9時40分ごろ、愛知県稲沢市増田東町の畑で、飼い犬を連れて散歩中の近くの男性(39)に、大型犬が襲いかかり馬乗りになった。
 近所の住民から「迷い犬がいる」との110番で出動していた県警稲沢署地域課の男性巡査(25)が、男性を守ろうと拳銃2発を至近距離から発射し、大型犬を射殺した。襲われた男性にけがはなかった。

 調べでは、大型犬は体長約1.25メートル、体高約74センチで、鎖の首輪をしており飼い犬らしい。飼い主を捜している。

 大型犬は男性を襲う直前、署員らに襲いかかろうとしてパトカー内に侵入。別の署員(27)が追い払ったところ、男性に襲いかかったという。また、近所の飼い犬1匹がかみ殺されていた。

 拳銃の使用について、後藤久雄同署副署長は「目の前で人が襲われ危険な状態で、拳銃使用は適正と考えている」と話している。

[ 2009/01/11 毎日新聞]
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 無責任な飼い主減らせ、自民議連が「ペット税」導入論

 自民党の動物愛護管理推進議員連盟(会長=鳩山総務相)は、犬や猫などの飼い主に課税する「ペット税」の導入に向けた議論を近く開始する。

 動物を飼ってもすぐに捨ててしまう飼い主を減らし、ペットを取り巻く環境改善につなげる狙いがある。議連では、ペットを購入する際に一定額の税金を全国一律で課すことを想定している。

 近年、ペットの飼い主が「飼うのに飽きた」などといった安易な理由で、ペットを捨てるケースが増えている。2006年度末時点で全国の自治体に引き取られた約37万4000匹の91%が殺処分され、社会問題化している。

 環境省はペットの引き取り数を17年度末までに約21万匹に抑える方針を打ち出しているが、財政難にあえぐ自治体は十分な対策を講じる余裕がないのが現状だ。この自治体の対策費の不足分を補う財源として、ペット税が浮上した。

 ペット税の税収は、
 〈1〉ペットと飼い主の特定につながる鑑札や体内埋蔵型マイクロチップの普及
 〈2〉自治体が運営する動物収容施設の収容期間を延長するための運営費
 〈3〉マナー向上の啓発運動費用
 などに充てる方向だ。

 議連では、「ペット税導入には、動物愛護団体からも前向きな声が寄せられている。飼い主ばかりではなく、ペット業者にも『大きく育ち過ぎたから処分してほしい』といったモラルの低下が見られるという。新税導入で殺処分減少に効果があるかどうか、検討したい」としている。

[ 2008/12/28 読売新聞]
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 「人いるワンワン」 お手柄ポテチ、ごほうびは?

 ゴールデンレトリバーのポテチ(8歳・メス)が先月、岡山市久米の用水路から出られなくなっていた80代の女性を見つけて知らせ、女性の救助に結びついた。

 ポテチは、近所のFさん(41)方の飼い犬。11月18日午後4時10分ごろ、ふだんほとんどほえないポテチが「ワンワン」と数分にわたって大声をあげ続けていることに、自宅に居たFさんが気づいた。不審に思ったFさんが、2階のベランダから自宅前を流れる用水路(幅5メートル、深さ1メートル)を見ると、女性が水深約50センチの用水を歩き、上がれなくなっていた。

 この日はぐっと冷え込み、最低気温は3.5度を記録。Fさんは、向かいに住むOさん(40)とH君(15)親子にも協力を頼んだ。3人は用水路に脚立をたてかけ、20分がかりで女性を無事保護した。

 Fさんら3人は10日、岡山西署から善行賞表彰を受けた。Fさんは「ポテチがほえたのは、異変に気づいたからだったのか、見知らぬ人を警戒したからだったのかわからないけれど、人助けにつながってよかった。ポテチにもごほうびをあげないと」と話していた。

[ 2008/12/14 朝日新聞]
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 捨て犬猫の収容所拡充、飼い主と出会いの場に 環境省

 捨て犬や捨て猫の処分を減らすため、環境省は来年度から、全国にある収容施設の拡充支援に乗り出す。収容数を増やして「待機期間」を延ばして新たな飼い主との出会いのチャンスを増やす。

 収容所は元々、狂犬病が広がるのを防ぐのが主な狙いで、3日以内に処分されることが多く、「出会いの場」として十分に認知されているとはいえない。特に、中・大型犬では飼育の負担が大きいため、引き取りを検討している間に処分されてしまうこともあったという。

 このため、同省は来年度から、主に捨て犬や猫の収容数を増やせる施設の新築や改修について、費用の半分を補助する。施設を「出会いの場」としての存在としても強調していき、現在より譲りやすくする。

 野良犬や、元の飼い主から捨てられた犬や猫は、都道府県や指定市の動物愛護センターや保健所など約400カ所に収容されている。04年度は94%が処分された。

[ 2008/11/30 朝日新聞]
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 ペットフード:賞味期限などの表示義務づけへ

 環境省と農林水産省は、国内で製造・流通する犬と猫用ペットフードのすべての製品に、賞味期限や原材料名などの表示を義務づける方針を固めた。6月に成立したペットフード安全法に基づく措置で、来年6月から施行する予定。残留農薬などペットの健康に影響する項目の基準値も設定するという。

 これまでは、業界団体の「ペットフード公正取引協議会」が定めた業界の自主基準に基づき表示されていた。協議会には国内の製造業者や輸入業者46社が加入し、国内取扱量の9割以上を占めるが、基準は会員以外に適用されず、違反しても罰則がなかった。

 そこで両省は、国内で製造・流通にかかわる全事業者に、安全性の表示を義務づけることにした。具体的には、製品にフードの名称▽賞味期限▽事業者名と所在地▽原産国名▽すべての原材料名−−の記載を求める。

 さらに、フードに含まれる有害物質による健康被害を防ぐため、かび毒▽農薬▽重金属▽有害微生物▽使用に注意が必要な添加物−−の残留値や使用上限値を設ける。

 違反すると製造禁止処分を受け、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。法人の場合は最高1億円の罰金が科される。

 ペットフードの安全性については昨年、米国で有害物質メラミンを含む中国製品を食べた犬や猫が相次いで死ぬ事故が発生。日本にもメラミン混入のフードが輸入されていたため、規制を求める声が上がっていた。

[ 2008/11/04 毎日新聞]
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 アライグマにウイルス感染広がる ジステンパー半数に

 野生化したアライグマの半数が、野生動物の大量死を招くジステンパーウイルスに感染していることが、山口大農学部の前田健准教授らの調査で分かった。日本脳炎ウイルスにも7割が感染していた。タヌキなど他の動物でも感染が確認され、ペットや家畜、人に影響がないか心配される。26日から岡山市で開かれる日本ウイルス学会で発表する。

 前田さんらは07年6月から、関西地方で捕獲されたアライグマ104匹の血液を調べると、約半数の54匹でジステンパーウイルスに感染した痕跡が見つかった。タヌキ19匹のうち4匹が感染し、イノシシやシカも感染していた。

 ジステンパーウイルスは、呼吸器を介して、主に犬猫の仲間に感染する。犬が発症すると、致死率は30〜80%と高い。国内ではタヌキが死ぬ例が相次ぎ、世界的にも90年代以降、ライオンやアザラシなどの大量死が見つかり、野生動物への被害が深刻になっている。人には感染しない。

 前田さんによると、アライグマは全国的に増えているほか、行動圏が広いため、タヌキなど他の野生動物に広げている可能性があるという。

 さらに、蚊の出る季節に捕獲したアライグマ68匹のうち、約7割の47匹に日本脳炎ウイルスに感染した痕跡があった。イノシシも36匹中、約8割で見つかった。

 日本脳炎ウイルスは、ブタや野生動物の体内で増え、蚊を媒介して人や他の動物に広がる。鳥取県では03年に馬が死んだ。人が感染しても発症しないことが多いが、脳炎になると危険が伴う。患者発生は92年以降、年間10人以下で死者は出ていない。

 前田さんは「日本脳炎に感染したアライグマやイノシシが人里に出て、蚊を介して、予防接種をしていない子どもに感染する危険も否定できない。外来のアライグマは駆除の徹底が必要だ」と話している。

[ 2008/10/26 朝日新聞]
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 絶滅の危機:哺乳類の4分の1、人間が原因で 国際調査

 各国政府や非政府組織(NGO)などで構成する国際自然保護連合(IUCN)は6日、世界の哺乳(ほにゅう)類のうち4分の1は絶滅の危機にあるとの調査結果を公表した。人間活動の影響による生息地の消失や環境の悪化が最大の原因と指摘している。調査結果は10日付の米科学誌サイエンスに掲載される。

 IUCNは絶滅危惧(きぐ)種を掲載するレッドリストを見直しており、全哺乳類の調査は96年以来、12年ぶり。世界130カ国の専門家約1800人が協力し、世界の哺乳類5487種の分布や保護の状況を、5年間かけて評価した。

 その結果、1500年以降、最低でも76種の哺乳類が絶滅した。動物園などで生き残り野生で絶滅したのは、中国のシフゾウ(シカ科)とアフリカ・サハラ砂漠などのシロオリックス(ウシ科)。

 現在、少なくとも1141種が絶滅の危機にあり、情報が不十分な種を考慮すると、その割合は約4分の1に上った。最も危険度の高い1A類は188種にのぼり、このうち中国のヨウスコウカワイルカなど29種は、すでに絶滅した恐れがあるという。

 また、初めて評価対象とした海洋哺乳類120種については、約3分の1に絶滅の恐れがあるとした。陸上では、南・東南アジアで霊長類の79%が絶滅危機にあった。

 保護活動によって絶滅危惧種の5%で野生個体数の回復の兆しが見えると分析。IUCNは保護活動の有効性を強調した。

 一方、IUCNは最新の絶滅危惧種に、哺乳類を含む動植物4万4838種のうち、38%の1万6928種が分類されると発表した。この中には約500年間、絶滅したと思われていたが昨年、発見されたため、絶滅危惧種に分類し直されたトカゲの一種も含まれるという。

[ 2008/10/12 毎日新聞]
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 カラスに餌、罰金 ノラ犬・猫も 東京・荒川区が条例案

 カラスなど動物の環境被害に悩む東京都荒川区は19日、飼っていない動物に餌を与える行為を禁じ、違反した場合は罰金を科す環境条例案をまとめたと発表した。同様の条例は、サルへの餌付けを禁止する栃木県日光市などで施行されているが、罰金を設けるのは全国で初めて。21日からパブリックコメント(意見募集)を実施、来年4月からの施行を目指す。

 条例は「区良好な生活環境の確保に関する条例」(仮称)。カラスやハトなどに餌を与え、周辺に被害を引き起こしている当事者に、区が立ち入り調査、勧告、命令することを認める。

 立ち入り調査を拒んだ場合、10万円以下の罰金、命令に違反した場合は5万円以下の罰金を科す。従わなければ氏名を公表できる。自分が飼っていない犬や猫についても、ふん害など周辺に環境被害があり、苦情が出るケースは対象になるという。

 区内には、5年ほど前からカラスに生肉などを餌として与えている人がいて、100羽以上のカラスが住宅地に未明から集まるなどして住民からの苦情が相次いでいた。

[ 2008/09/20 朝日新聞]
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 犬猫の飼い主探し、環境省が全国に90施設…殺処分を半減へ

 環境省は来年度から、飼い主が都合で飼えなくなり行政が引き取った犬や猫の新たな飼い主探しを進めるため、全国的な施設整備事業に乗り出す。

 毎年30万匹を超える犬猫が殺処分されている現状を改善するのがねらいで、収容スペースの拡充や環境整備のほか、飼育希望者との交流の場づくりなどにも補助する方針だ。

 新たな飼い主を探すには、予防接種や病気の有無などを確認する必要があるが、これまでの施設は多数の動物の収容を想定していないため狭く環境が悪かったり、老朽化していたりして機能が果たしきれない場合が多かった。
 これまでもワクチン接種やエサ代などを補助してきたが、抜本対策にはハード面の整備が欠かせないと判断。都道府県や政令市に年間約10か所、2017年までに90か所を整備し、9年間で殺処分数の半減をめざす。

 環境省は、犬猫の不妊手術や飼い主を確認するための体内埋め込み式のマイクロチップ導入など複数の施策を組み合わせ、目標を達成したい考えだ。
 全国の自治体などで引き取られた犬猫の数は、2006年度の調査で年間約37万匹。うち91%にあたる34万匹が殺処分され、新たな飼い主が見つかるのは約3万匹にすぎない。

[ 2008/09/12 読売新聞]
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 増えるペット、広がらぬ狂犬病予防 中国で流行の兆し

 中国で狂犬病が流行の兆しを見せている。国内の感染者は96年以降の10年で約20倍に増えた。経済発展に伴いペットとして犬を飼う家庭が増える一方、予防接種が普及していないことなどが背景にある。中山大学公共衛生学院(広州市)の研究チームが英専門誌(電子版)で発表した。

 中国国内での狂犬病の人への感染は、50年代と80年代に2度のピークがあり、それぞれ年間、数千人規模の患者が出ていた。87年に政府が対策を強めたところ減り始め、96年には159人に。その後再び増加に転じ、06年は3279人に達した。増加の傾向は今も続き、感染者数はさらに増えるとみられる。

 研究チームの調査では、広東省の患者(03年と04年)のうち、正確な記録の残っていた244人の約6割が、感染直後に傷の消毒など最低限の治療を受けていなかった。適切な処置を受けたはずの6人全員も亡くなっており、ワクチンの品質などに問題があったとみられる。

 狂犬病は、アジアとアフリカを中心に世界で年間5万人以上の感染者が出ている。人から人へは感染せず、日本では撲滅されている。外国からの帰国者の感染例としては、06年にフィリピンから帰国した2人が発症したのが36年ぶりで、中国からの帰国者ではまだ記録がない。

 研究チームの陸家海・副教授は「一部の都市で飼い犬への予防接種の強制も始まっているが、全体としてはまだまだ対策が遅れている」と認める。日本の国立感染症研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は「中国では犬には近づかず、もしかまれたら、すぐに信頼できる医療機関を受診して」と話す。

[ 2008/09/06 朝日新聞]
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