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◆ 動物に関わる新聞記事(2) kiji41〜kiji80 ◆


 ヒマラヤの雪男、撮れるか 捜索隊が壮行会

 ヒマラヤに生息するといわれる未知動物イエティ(雪男)を捜索する「イエティ・プロジェクト・ジャパン」(高橋好輝隊長ら7人、朝日新聞社後援)の壮行会が25日、東京都内であった。

 一行は8月10日に出発し、カトマンズを経てダウラギリ山群南面に入る。94年の前回捜索でわかった、出没の可能性の高い数カ所の拠点に自動カメラを仕掛けて待つ。

 山仲間らから「ぜひ雪男を連れて帰って」と激励され、高橋隊長は「彼らの領分に踏み込ませてもらうのだから、鮮明な映像が撮れたら、保護に尽力したい」と話した。

[ 2003/07/26 朝日新聞 ]
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 サル痘 アフリカヤマネ、日本にも輸入

 米国で人間への感染例が相次いだサル痘について、感染源となったアフリカ産げっ歯類と同じ船荷で運ばれていたアフリカヤマネ17匹が、日本にも輸入されていたことが3日、厚生労働省の調べで分かった。

 このうち15匹は輸送中などに死亡、残りの2匹について国立感染症研究所がサル痘ウイルスの有無を調べている。輸入業者の従業員1人が輸送中にかまれたが、健康に異常はないという。

 このアフリカヤマネは、米国で感染源となったアフリカ産げっ歯類(アフリカオニネズミやアフリカヤマネなど)と同じ船荷で今年4月にガーナから米国へ運ばれ、5月に米国から日本に再輸出されていた。生きている2匹は横浜市内のペット業者が保管中だった。

 同省は先月10日、国内の関係業者にアフリカ産げっ歯類の輸入自粛を要請していた。

[ 2003/07/04 毎日新聞 ]
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 野良猫集まり悪臭被害 えさを与えた隣人に賠償命令

 餌を与えたので野良猫が集まり、糞尿(ふんにょう)による悪臭被害を被ったなどとして、神戸市内で居酒屋を経営する女性(69)と息子(43)が近隣住民4人を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、神戸地裁であった。
前坂光雄裁判官は、糞尿被害について「受忍限度を超え、違法」として、隣家の夫婦に40万円の支払いを命じた。

 判決によると、隣家の夫婦は00年秋ごろから、野良猫に餌をやり始め、約10匹が原告の居酒屋や自宅の周りに放尿、排便を繰り返して悪臭が漂うようになった。

 判決は、夫婦は居酒屋経営の女性が猫嫌いなのを知りながら餌を与えたと指摘。「特に都会においては、他人に不快感を与えないようにする配慮が求められる」とした。

 原告側はほかにラジカセの音や飼い犬の鳴き声といった騒音被害なども訴え、隣家の夫婦を含む4人に計500万円の賠償を請求。判決は糞尿被害以外の損害賠償として、4人に計約110万円の支払いも命じた。

[ 2003/06/12 朝日新聞 ]
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 サル痘:米で19人が感染、プレーリードッグが原因?

 米疾病対策センター(CDC)は7日、ウィスコンシンなど中西部3州で19人が天然痘に似たサル痘に感染したと発表した。

 CDCによると、北米でサル痘の人間への集団感染が確認されたのは初めて。患者全員がペット用のプレーリードッグに接触していた。

 サル痘は、根絶された天然痘に近い種類のウイルスが病原体で、中央・西アフリカの熱帯地方の霊長類などが起源。発疹(ほっしん)などの症状を引き起こすが、天然痘に比べ感染力は弱く、死に至ることは少ない。潜伏期間は約12日。

 感染源とみられるプレーリードッグは5月に同州ミルウォーキーのペット店2軒などへ販売。他州にも売られた可能性がある。CDCは獣医師らに感染拡大の防止措置を行うよう呼び掛けた。

[ 2003/06/09 毎日新聞 ]
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 ドライブ、犬も快適に 工夫の車次々

 自動車大手が「ペット対応」を新車販売の追い風にしようと知恵を絞っている。愛犬家専用車が登場したほか、ペットが車内で快適に過ごせる装備を用意する動きも増えている。

 ホンダの軽自動車バモスホビオの特別仕様車「トラベルドッグバージョン」は、愛犬家向けホームページで募った意見をいかした。犬が寝ころぶ車の後部のマットは疲れにくい弾力素材にし、座席下のカーペットには医療用に開発した防ダニ加工の繊維を使った。

 トヨタ自動車のウィッシュや三菱自動車のグランディスなどの新型ミニバンには、大型シートカバーで後部座席をすっぽり覆う装備がオプションとして用意されている。犬が動ける空間が広がり、車内も汚れないのが売り物だ。三菱の場合は、高級セダン以外の主要車で同様のシートカバーが装着できる。

 スウェーデンのボルボのステーションワゴンは、後部に鉄製のかごを装着できる。後ろのドアを開けても犬が飛び出さないように配慮した。

 自動車業界は「愛犬をどこにでも連れていきたいユーザーが増えていく」(ホンダ)とみている。愛犬家の車選びは「掃除のしやすさ」「衛生」「安全」がキーワードだという。

[ 2003/06/02 朝日新聞 ]
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 エキノコックス 関東地方に上陸 飼い犬1匹への寄生確認

 キタキツネなどに寄生し、人に重い肝機能障害を起こす寄生虫「エキノコックス」に関東地方の飼い犬が感染していたことが確認された。国内では北海道だけにいるとされるエキノコックスが関東で見つかったのは初めて。感染していたのはいずれも過去に北海道で飼育されたことのある犬だった。神谷正男・北海道大獣医学部教授らの研究グループが28日から久留米大で行われる日本寄生虫学会などで発表する。

 神谷教授らは97〜02年、各地の飼育犬と猫を対象にエキノコックスの感染状況を調査した。その結果、北海道以外の犬64匹のうち1匹の感染を確認、別の1匹も感染の可能性が非常に高いことが分かった。いずれも北海道内で飼われた後、関東地方に移った犬だった。ペットの移動で感染が本州に広がる可能性は以前から指摘されており、それが裏付けられた。

 また北海道の犬1650匹のうち18匹(1.1%)が感染または感染の可能性が高かった。その確率は野犬とほぼ同じで、感染の可能性が低いとされていた室内犬もあった。猫では、170匹のうち4匹が感染の可能性が高かった。

 エキノコックスは99年、青森県のブタで感染が確認されたが、人への感染源となるキツネや犬などから見つかった例は本州ではない。

 研究グループの野中成晃・北大助手は「今回の感染の確認が、必ずしも本州での汚染の広がりを意味するものではないが、飼い主や獣医師、行政は十分な予防対策をとるべきだ」と話している。


《 エキノコックス 》
 成虫はキツネや犬、幼虫はネズミに寄生する。感染動物との接触や、汚染された水や食べ物によって卵が人の体内に入ると、幼虫が主に肝臓に寄生し、重い肝機能障害を起こす。潜伏期間は5〜15年で、重症化すると致死率は高い。厚生労働省によると、99年4月以降、53人が感染、死者は10人に上るという。

[ 2003/03/07 毎日新聞 ]
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 マンション 「ペットOK」が急増 首都圏で3戸に1戸

 犬や猫などペットの飼育ができるマンションが、首都圏で急増している。不動産経済研究所が発表した調査結果によると、1都3県で昨年発売されたペット飼育が可能なマンションは前年比8割増の3万592戸。販売戸数全体の34.6%を占め、3戸に1戸でペットが飼える計算だ。
足洗い場や毛を整えるグルーミング室など、ペット専用の共同設備を備えたマンションも増えており、ペットも「市民権」を獲得してきたようだ。

 東京、神奈川、埼玉、千葉で昨年販売されたマンションは8万8516戸。販売戸数は99年以降9万個前後で推移しているが、ペット飼育可能なマンションは、99年の2709戸から、8564戸(00年)、1万7023戸(01年)、3万592戸(02年)と急増している。

 最近は、ペットの足洗い場や、ペットが乗っているかどうかが外から見える「ペットサインエレベーター」など、専用設備を備えたマンションも増加。昨年は、ペット飼育が可能なマンションの約6割に専用設備がついていた。
また、ペットを飼育していないと入居できないというマンションも数棟だが登場しているという。

[ 2003/03/05 朝日新聞 ]
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 「盲導馬」をPR、80センチのリトルホースお披露目

 「世界一小さな馬」と称されるリトルホースを国内でも「盲導馬」として普及させようというシンポジウムが18日、衆院第2議員会館で開かれた。

 東京の非営利組織(NPO)法人「アクションパワフルジャパン」(江口浩一郎代表理事)の呼びかけで、自民党の坂井隆憲衆院議員ら国会議員や各省庁担当者ら約30人が出席。オス、メス各1頭の計2頭が木製のさくの中にお目見えし、出席者からは「かわいい」との声が出た。

 リトルホースはオーストラリア原産で、成長しても体長は80センチ程度。従順な性格で、寿命も平均25年程度と長生きだ。豪州では、アニマルセラピー(動物介在療法)に最適として、学校や老人福祉施設で飼育されている。米国でも、「盲導馬」として育成されているという。

 国会の議員会館への動物の持ち込みは従来、盲導犬しか認められていなかったが、今回、特別に許可を取りつけた。

[ 2003/02/18 朝日新聞 ]
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 犬近づき転倒骨折、病院でぜんそく死 関係認め賠償命令

 散歩中の飼い犬が近づいた拍子に転倒し、骨折した女性(当時79)が、入院治療中にぜんそくの発作を起こして死亡した――。

 この女性の遺族が、骨折が死亡につながったとして、犬の飼い主側に約2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の飛澤知行裁判官は17日、「骨折と死亡との因果関係は否定できない」と指摘。犬のひもをしっかり固定していなかったとして、飼い主の過失を認め、約657万円の支払いを命じた。

 判決によると、00年5月、大阪市内の飼い主の妻がミニチュアダックスフント(体長約40センチ)をひもでつないだまま自宅から散歩に連れ出そうとしたところ、犬が近くを歩いていた女性に接近。女性は転倒して左太ももの付け根の骨を折り、入院した。
同年8月、女性は入院中、気管支ぜんそくの発作を起こして肺炎などを発症し、約20日後に呼吸循環不全で死亡した。

 飛澤裁判官は「直接の死因ではないが、骨折による入院で女性の抵抗力が弱まって発作が出たと考えるのが自然」と述べた。

[ 2003/02/17 読売新聞 ]
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 南米でハムスターが狂犬病感染 厚労省が注意呼びかけ

 厚生労働省は21日、南米のボリビアで狂犬病にかかったハムスターが飼い主をかむ“事故”が発生したとして、都道府県などに対し、情報を提供して狂犬病対策の徹底を要請した。同省結核感染症課は、国内で飼育されているハムスターに現在、危険性はないと強調した上で、「犬以外の多くのほ乳動物が、狂犬病の感染源になり得ることの実例として、注意を呼びかけることにした」と話している。

 同省によると、ボリビアで昨年末、ペルーから輸入されたハムスターが飼い主をかんだ翌日に死んだ。病原体を調べたところ、ハムスターは狂犬病に感染していたことが判明。飼い主を含めて、ハムスターに接触した可能性のある約80人が緊急でワクチン接種を受け、発病者は出なかった。

 日本には2001年の1年間だけで、主にヨーロッパから100万匹以上が輸入されているが、ペルー産は報告されていない。しかし、狂犬病はいったん発症すると治療法がないため、同省は、参考情報として広く知らせることにした。

[ 2003/01/22 読売新聞 ]
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 ロサンゼルス 動物園の飼鳥館閉鎖 ニューカッスル病発生で

 鳥きん類の感染病「ニューカッスル病」が米カリフォルニア州で発生したのを受け、ロサンゼルス動物園は3日、カリフォルニア・コンドルなど希少鳥類保護のため、飼鳥館すべてを閉鎖した。園内を自由にかっ歩していたクジャクなどすべての鳥を入園者から隔離した。

 ニューカッスル病は、主にニワトリなど家畜が感染する致死性の高いウイルス性の伝染病。感染した入園者が鳥に感染させかねないため動物園が閉鎖を決めた。すでにサンディエゴ動物園、サンディエゴ野生動物公園も数日前から同様の措置を取っている。ロサンゼルス動物園の担当者は「園内の鳥への感染の可能性は低いが、一羽でも感染すれば鳥類をすべて廃棄しなければならなくなるため慎重を期した」と語った。

 カリフォルニア州では昨年9月、ロサンゼルス近郊で飼われていたニワトリがニューカッスル病に感染したことが判明して以来、100万羽以上のニワトリが処分された。メキシコ、カナダも最近、カリフォルニア産鶏肉製品の輸入を禁止するなど、養鶏業は大打撃を受けている。

 ニューカッスル病の発生は、1200万羽のニワトリを処分することになった71年以来、32年ぶり。

[ 2003/01/04 毎日新聞 ]
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 輸入ペットに検疫、感染症防止へ義務化

 厚生労働省は、危険な病原体をもたらすペット用動物を原則として輸入規制の対象とし、検疫を義務づけるよう感染症法を改正する方針を決めた。

 現行法では一部の動物を除いてペット用動物を自由に輸入できるが、鳥類やコウモリなどによる動物由来感染症の危険が指摘され、検疫で安全性を確かめてから輸入させることにした。感染症対策はこれまで人から人への感染防止に主眼が置かれてきたが、今後は感染源となる動物の水際阻止にも力点を置く。同省は、2004年の改正、施行を目指す。

 日本に動物を輸入する際は、感染症法でサルが、狂犬病予防法で犬、猫、キツネなどが、家畜伝染病予防法で牛、豚、ニワトリなどが、それぞれ検疫を義務づけられている。しかし、感染症対策の中心になる感染症法は、患者が発生した後の被害拡大防止が主目的で、感染源の動物対策は重視されてこなかった。

 このため、肺炎などを引き起こすオウム病を持ち込むセキセイインコやオウムなどの鳥類、腎障害を引き起こすハンタウイルスの感染源となるネズミ類、狂犬病の感染源となるコウモリ――など、ペット用動物の多くが未検疫で輸入されてきた。

 同省は、これら動物由来感染症の感染源となる動物について、他の先進各国並みに、輸入禁止や検疫義務化などの措置を取ることができるように改める。

[ 2003/01/01 読売新聞 ]
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 寄生虫エキノコックス、室内犬でも感染を初確認

 キタキツネや犬などに寄生して、人に感染すると重い肝機能障害をもたらす寄生虫エキノコックスに、北海道内の飼い犬20匹が感染し、うち1匹は室内犬だったことが、厚生労働省の研究班の調査でわかった。室内犬の感染が確認されたのは初めてで、厚労省は、飼い主への注意喚起などを求める通知を北海道と札幌市に出した。

 厚労省研究班によると、北海道内の獣医師の協力を得て、97年8月から今月19日の間、飼い犬1772匹のふんを調べたところ、うち20匹(1.1%)がエキノコックスに感染していた。

 室内犬は、札幌市内で飼われていた生後6カ月の雑種の中型犬で、今月18日に感染が確認された。飼い主は「今年夏に道内を旅行中にネズミを食べた」と話しており、その中にエキノコックスの幼虫がいた可能性がある。

 エキノコックス症は、キタキツネや犬などのふんに混じって排出されたエキノコックスの卵が食物などを介して人の体内に入って感染する。日本では北海道を中心に感染が報告されている。大人では感染しても自覚症状が出るまでに10年以上かかる。外科手術が最も有効な治療とされるが、自覚症状が現れた例では治癒率が低いという。

 感染者の報告は今年は12月8日現在で9人(うち北海道8人)、01年は15人(同13人)、00年は22人(同21人)。人口動態統計によると、ここ3年の死亡者数は年間2〜4人。

[ 2002/12/28 朝日新聞 ]
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 猫害:ふん尿などで被害と提訴 放し飼いの男性らを

 「放し飼いの猫のふん害などで被害を受けた」などとして兵庫県尼崎市の会社経営の男性(57)ら6人が24日、近所のマンションに住む男性とマンション管理会社に1250万円の損害賠償などを求め、神戸地裁尼崎支部に提訴した。原告代理人の弁護士は「放し飼いの猫による被害が裁判になった例は聞いたことがない」と話している。

 訴状によると、原告らは、3年ほど前からマンションの男性が放し飼いにしている約20匹の猫のふん尿で家庭菜園を台無しにされたり、猫対策で庭をコンクリート敷きにするなどの出費を余儀なくされた。また、原告の会社経営の男性宅に向けて監視カメラが設置され、家族が精神的なダメージを受けるなどしたという。管理会社についても「餌を与えるな」と張り紙をしただけで適切な対策をとらなかった責任がある、としている。

 原告側は「ルールを守らない飼い方に我慢が限界に達した」と訴えている。これに対して、被告の男性は「餌を与えているだけで飼っているわけではない」と反論し、監視カメラは「(原告側が)わなを使って猫を捕獲していたので設置した」と話している。

[ 2002/12/24 毎日新聞 ]
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 5500万年前の「ヒトの祖先」化石、米で発見

 ヒトを含む現代型霊長類(真霊長類)の特徴である、物を握れる手足と平らな爪(つめ)の指を持った原始的哺乳(ほにゅう)類の化石が米国ワイオミング州の約5500万年前の地層から発見された。発掘したミシガン大古生物博物館の研究者が22日の米科学誌サイエンスに発表する。

 真霊長類の起源は、化石が乏しいために30年間も論争が続いていた。今回の発見は、後に物をつかむことで文化を獲得したヒトの原点につながる重要な発見として注目される。

 真霊長類は、ネズミに似た小型の原始哺乳類(プレジアダピス類)から進化したと考えられている。プレジアダピス類は、すべてがかぎ爪で横並びの指を持つのに対し、真霊長類は、平爪を持ち、反対向きになった親指で物をつかめるような手または足に進化している。これまで両者をつなぐ中間的な生物の化石は見つかっていなかった。

 発見された化石は、昨年末の学会で発見の一部が報告され、論文発表が待たれていた「カルポレステス・シンプソニ」という種類。ネズミやリスに似た姿で、体の半分は尾で全長約25センチ、体重約100グラム。手足の親指がほかの指とは違う向きになり、足の親指にだけ平爪が確認された。指を除く、頭骨などの特徴からプレジアダピス類に含めたが、真霊長類に進化する一歩手前の段階だという。

 同大のJ・ブロック博士は、カルポレステスが枝先にしがみついて木の実などを食べていたと推定する。カルポレステスの構造から見て、私たちの祖先は、木を飛び移ることや両目の視覚で獲物を捕らえることが、最初はあまり得意でなかったと考えられるという。

[ 2002/11/22 読売新聞 ]
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 犬のルーツは東アジアのオオカミ 1万5千年前に家畜化

 犬のルーツは約1万5千年前、東アジアで家畜化されたオオカミ。アジア、ヨーロッパ、米大陸の順に広がっていったとみられる――二つの国際研究グループによる犬とオオカミのDNA分析でそんな結果が出た。22日発行の米科学誌サイエンスに発表される。

 考古学的研究などから犬の祖先はオオカミが家畜化されたものとみられている。ただ、最初にどの地域でいつ家畜化されたのか、はっきりしていなかった。スウェーデン王立工科大のサボライネン博士らは、現在世界にいる種類をほぼカバーする654種の犬と、ユーラシア大陸の38種のオオカミのDNAサンプルを集め、遺伝子配列を調べた。

 ほとんどの犬が何世代も受け継いできた共通の遺伝子領域を持っており、初期の犬に少なくとも4系統のオオカミの血が混じっていたことを突き止めた。さらに各地の犬の遺伝子型が分岐した過程をたどり、約1万5千年前に東アジアでこれらの系統のオオカミから家畜化され、ヨーロッパなどに広がった可能性が大きいことがわかった。

 一方、米カリフォルニア大のレナード博士らは、コロンブスが米大陸に到達する前の中南米遺跡で見つかった犬の骨や、18世紀に冒険家らが立ち入る前のアラスカにいた犬の骨から採取したDNAも調べた。

 その結果、北米・南米での犬の祖先は、ベーリング海が陸続きだった約1万2千年前〜1万4千年前ごろに、ヨーロッパやアジアから人に連れられてきたと推定される。

 犬の起源に詳しい田名部雄一・岐阜大名誉教授は「米大陸の犬の起源は大陸発見後にヨーロッパ人が持ち込んだという見方もあったが、今回の研究で否定された」と話す。

[ 2002/11/22 朝日新聞 ]
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 かわいい姿でも感染症の恐れ、プレーリードッグ輸入禁止へ

 厚生労働省は18日、ペストなどの危険な感染症を国内に持ち込む恐れがあるとして、感染症法の規定に基づき、ネズミの仲間であるプレーリードッグの輸入を禁止することを決めた。同省は既に輸入業者などに自粛を指導しており、来春までに必要な法的手続きを取る予定だ。

 プレーリードッグは、後ろ足で立ち上がるかわいらしい姿でペット用などとして人気を集め、米国などから1年間に1万3000匹以上が輸入されている。野生種を捕獲することから、ノミを通じて人間にペストなどを感染させる危険性が以前から指摘されている。

 今年8月には、人間が感染した場合、高熱を発して死亡することもある野兎病が米国のプレーリードッグで発生。通報を受けた同省が調査したが、購入者は追跡できなかったという。

[ 2002/10/19 読売新聞 ]
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 身体障害者補助犬法、きょう施行 これからずっと一緒だワン!

 障害者の自立を助ける盲導犬、介助犬、聴導犬の公共施設や交通機関への同伴を保障する「身体障害者補助犬法」が1日施行された。今までペットと同じ扱いだった補助犬が法的に位置づけられ、障害者の社会参加の機会が広がるという期待の一方で、罰則のない法律で効果があるのか、質の高い補助犬の育成態勢をどう築いていくか、など課題も抱えてのスタートだ。

 午後5時半。閉庁後の静かな千葉市花見川区役所内で市民課職員、山口亜紀彦さん(30)が残業していた。座る車いすのそばで、介助犬オリーブがうずくまって待機する。他の部署に書類を持っていったりトイレに行ったりする時は、ぴったり寄り添って歩く。

 23歳の時、交通事故による脊髄(せきずい)損傷で下半身にまひが残った山口さんは99年に同区役所に採用された。

 介助犬の同伴を希望したが、役所は「ほかの職員が手伝うから」と認めなかった。山口さんは「みんな親切だけれど、窓口対応や電話で忙しい時間に『ペン1本落としたので拾って』とは頼みにくい」と訴え続けた。昨年10月、自治体としては全国で初めて同伴が認められた。

 オリーブは、一人暮らしの山口さんのために電話の受話器やテレビのリモコン、冷蔵庫から飲み物を持ってきたりと活躍。「ささいなことほど人には頼みにくいから本当に助かります」

 一方で、法律がどこまで浸透しているか分からない不安もある。先日、近所の飲食店でオリーブの入店を断られた。「補助犬法もできたんですよ」と説明したが、「他のお客さんから苦情が出るかもしれないし、うちのような小さな店ではスペースの面でも対応は難しい」と言われた。

 さらに、民間事業所・住宅での受け入れが「義務」ではなく「努力」とされたことや罰則がないことも残念だという。

 受け入れる側にも困惑がある。介助犬の調査研究や知識の普及を目指す「日本介助犬アカデミー」(東京都三鷹市)には、都内の各区役所の担当者から「補助犬はどう見分ければいいのか」などの問い合わせの電話が連日のように入る。「法律では認定された補助犬だと表示する義務が障害者に課されている」などと説明している。

 他に先駆けて、受け入れてきたダイエーにも同業者から「話を聞かせて欲しい」という申し入れが相次いでいる。同社では盲導犬は93年、聴導犬は97年、介助犬は99年から全店で同伴を認めた。社内で独自に基準とマニュアルを作り、全店に配った。

 盲導犬を受け入れた当時は、他の客から「なぜ犬が店内にいるんだ」という苦情もあったが、店頭で「ふれあい教室」などを開いて一般客の理解を求めた結果、近年ではほとんどクレームはないという。

 しかし介助犬は、商品を口でくわえて運ぶこともある。ダイエーは食料品や衣料品など以外はくわえても構わない、としている。消費者サービス部エコ・ハート課の高田かおりさん(43)は「他のお客様の理解を得るためにも一定の基準は必要。今後細かい点を詰めていかないと」と話す。

 国内での育成の歴史が短い介助犬、聴導犬は実働数がまだ少ない。昨年、厚生労働省の補助事業で東京医科歯科大の藤田紘一郎教授が中心になって実施した調査では、介助犬の使用希望者数を4万1千人と推計している。寄付に頼っている育成団体の態勢強化やトレーナーの養成は急務だ。

 また、頭数の確保を目指すあまり、質が保てなくなることを心配する声もある。法制化に努力した日本介助犬アカデミー専務理事の高柳友子医師(36)は「訓練や引き渡し後のサポートが不十分な団体による質の悪い『補助犬』が出て来て、トラブルを引き起こすこともありうる。そうなれば逆に社会の理解が得られなくなってしまう」と話す。良質な補助犬育成のために、従来の育成団体だけなく、福祉や医療の専門家が第三者的立場で訓練システムにかかわっていく必要があると訴えている。

 <身体障害者補助犬法> 
 視覚障害者の歩行誘導を行う盲導犬、肢体障害者のために物の拾い上げや衣服の着脱補助、スイッチの操作などをする介助犬、聴覚障害者に電話の音やブザー音などを伝える聴導犬の同伴を、公共の施設や交通機関が拒むことを禁じた法律。
 あわせて訓練事業者や使用者の義務も定めた。これまで盲導犬は道路交通法で定義され、国家公安委員会指定の団体が認定していたが、介助犬、聴導犬は育成団体がそれぞれ独自に認定していた。
 来年10月からは、不特定多数が利用する商業施設や宿泊施設も受け入れが義務付けられる。
 厚生労働省によると国内の実働数は
 盲導犬895頭、介助犬26頭、聴導犬19頭。

[ 2002/10/01 朝日新聞 ]
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 ネコの首 鈴ならぬチップ 環境省 埋蔵式でノラ防止

 環境省は、迷いネコや捨てネコを減らすため、飼い主の情報が入ったマイクロチップをネコの首に埋め込むモデル事業を来年度から、沖縄県で始めることを決めた。同省によると、チップは簡単に埋め込むことができ、ネコの体に悪影響は出ないという。03年度予算に2100万円を要求する。

 マイクロチップは大きめの米粒大の円筒形で、注射器のような器具で首の皮膚の下に埋め込む。読み取り器を近づけると、登録された番号が表示され、飼い主の氏名などがわかる。5000円程度の費用がかかるため、補助金を出す。

 動物愛護法に基づいて環境省が定めたペットの飼い方の基準は、「終生飼養するように努めること」としている。しかし、生まれた子ネコを捨てたり、放し飼いにして逃げだし野良ネコになったりする例は後をたたず、自治体に引き取られ、処分されたネコは99年に約28万匹に上る。

 環境省は飼い主がはっきり分かるようにすることで、あきて捨てることや、迷いネコを減らせるという。同省は、天然記念物のヤンバルクイナが野良ネコに食べられる被害が出ている沖縄本島北部でモデル事業を開始する。

[ 2002/09/08 朝日新聞 ]
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 猫虐殺 ネットに写真掲載した容疑者を異例の逮捕

 福岡地検は子猫を虐殺している様子をインターネット上に写真掲載したとして、広島県呉市、無職、M容疑者(27)を動物愛護法違反容疑で逮捕し、7日、同法違反の罪で福岡地裁に起訴した。同法違反で、逮捕・起訴するのは極めて異例。同地検は「ネットで実況中継するなど極めて悪質で、社会的影響も大きい」と説明している。

 起訴状などによると、M被告は5月6日午後11時10分〜7日午前3時20分ごろまで、当時住んでいた福岡市東区のアパートで、拾ってきた子猫の耳やしっぽをはさみで切ったり、首をひもで縛るなどして殺した。その様子を写した写真をインターネット上の掲示板「2ちゃんねる」の「ペット大嫌い」コーナーに「ネコ虐殺実況中継」として載せた、とされる。

 掲示板を見た人からの通報で事件が発覚。M被告は県警の調べに虐待を認めたものの「猫は水をかけると逃げ出した」と殺害を否認。県警は5月22日、M被告を福岡地検に書類送検した。ところが、地検が獣医らに写真鑑定を依頼したところ、殺害の疑いが濃厚となり、M被告も殺害を大筋で認めた。

 事件発覚後、同地検にはM被告に厳罰を求める署名簿や電話などが全国から1日当たり数十件も寄せられた。動物虐待は書類送検―略式起訴―罰金刑の処分になるケースがほとんどだが「極めて残虐で社会への影響も大きい」として逮捕・起訴に踏み切った。

 動物愛護法は00年12月に改正され、虐待への罰則が従来の「3万円以下の罰金又は科料」から「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に強化された。改正後に同法違反で摘発された例には、飼育馬の世話を怠り衰弱させたとして長野県の元牧場主が略式起訴後、罰金30万円を命じられた例(不服として公判中)などがある。

[ 2002/09/08 毎日新聞 ]
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 体内時計 遺伝の解析で“スイッチ”の仕組み解明

  夜、多くの動物が眠くなり活動が低下するが、山之内製薬などの研究グループは脳と肝臓の遺伝子の解析から夜になると体内時計の“スイッチ”が入る仕組みを解明した。体内時計の乱れから生じる不眠症や時差ぼけ、登校拒否の解決に役立つ可能性があり、同社は「体内時計を制御する薬の開発につなげたい」としている。1日発行の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

  研究グループは、マウスを、明暗が昼と夜のように切り替わる環境と終日暗い環境に置いて、脳と肝臓にある膨大な遺伝子の中から、どの遺伝子が約24時間の生活リズムを刻んでいるのかを調べた。

 その結果、脳で101個、肝臓で395個の遺伝子が朝や夜などの時間帯に応じて働き、このうち人間と共通しているのは脳で45個、肝臓で189個あった。

 さらに、夜になると働き始める数個の遺伝子を突き止め、いずれも11個の塩基でつくられる特定因子と反応してスイッチが入ることを世界で初めて確認した。この特定因子を夜に働かない遺伝子と反応させると、夜の時間帯に活動させることもできた。

[ 2002/08/01 毎日新聞 ]
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 密輸出 日本向け象牙6トン押収 野生生物国際機動部隊

 米国に本部を置く環境保護団体、国際動物福祉基金(IFAW)は10日までに、ケニアなどアフリカ各国でつくる「野生生物国際機動部隊」が日本へ向けて密輸出されようとしていたアフリカゾウの象牙6トンを、シンガポールで押収したことを明らかにした。

 ケニア紙ネーションによると、同部隊の指揮官は「3年間の活動の中で最大の成果」と話している。
 IFAWによると、象牙はザンビアから英国旅券を持つアジア系男性が運び出しており、機動部隊が6月26日に象牙を押収、この男性を逮捕した。

 アフリカゾウは国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧(きぐ)種に指定、ワシントン条約で国際取引が禁止されている。しかし、一時は日本に向け限定的な象牙輸出が認められたことがあり、南アフリカなどは象牙の輸出解禁を求めている。

 アフリカでは、ケニア、タンザニアなどが野生生物の密猟摘発のためのルサカ協定を結んで機動部隊を設置、犯罪摘発を進めている。

[ 2002/07/11 毎日新聞 ]
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 ペットに「EUパスポート」

 欧州連合(EU)の農業理事会は28日、予防接種済みのペットに「EUパスポート」を発行、域内の自由往来を認めることに合意した。対象は犬と猫。狂犬病の予防接種の番号や写真などで、「身元」を確認するという。

 パスポートを持ったペットは、英国、アイルランド、スウェーデンを除く域内12ヶ国で、予防接種を受けたかどうかの検査なしに出入国できる。
 ペット連れの行動に寛容な欧州で、ペットと一緒の旅行やバカンスがよりしやすくなる。施行は今秋以降の見通し。

[ 2002/07/01 朝日新聞 ]
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 共生の基本に「ペット六法」 遺棄や虐待など対応

 ペットブームの高まりとともに頻発するようになった希少動物の違法取引やペットの遺棄、虐待など様々な問題に応えようと、内外の関係法令を網羅した「ペット六法」が7月初めに発刊される。「ペット法学の権威」といわれる吉田真澄・元同志社大教授(民法)が、諸外国のペット事情に詳しい専門家らの協力で編集した。ペットだけにスポットを当てた本格的な法律書は例がないという。

 ペット六法は、動物愛護、野生動物、動物健康衛生、就労動物、産業動物の五項目に分けて関係法令の概要を解説。さらに、動物愛護法や身体障害者補助犬法、鳥獣保護法など法律10件と都道府県条例、英、米、独、仏の各国と欧州連合(EU)の関係法令の条文や解説を収録し、国内各地だけでなく、各国のペットに対する取り組みや考え方の違いがわかる。

 例えば、日本の動物愛護法では、ペットを虐待した人に、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す、としているのに対し、英国の動物保護法では、罰則のほか、飼育を禁じる条文もある。

 吉田元教授は「人とペットのより良い共生のため、法という基本ルールの全体像を理解するのに役立ててほしい」と話している。

[ 2002/06/17 読売新聞 ]
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 警察犬ジュディー 義足と生きる

 がんで足を失った犬が義足を着け、再び元気に動き回っている。

 義足を着けたのは大阪市平野区のシェパード犬「ジュディー」(メス3歳)。警察犬としての訓練を受けていたが、昨年秋、悪性腫瘍のため左後脚の切断を余儀なくされた。
 不憫に思った飼い主の山田和子さんが、技師装具などの製造販売会社「川村義肢」(本社・大阪府大東市)に相談、同社の義肢装具士、谷裕司さんらが政策に取りかかった。
 谷さんは「たまたまジュディーではうまくいったが、犬の義足はまだ研究段階。ただ元気に歩く姿を見ると作ったかいがあったと思う」と話している。

[ 2002/06/11 朝日新聞 ]
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 子猫の首や足を切断、病院敷地にばらまく

 28日午前10時30分ごろ、さいたま市白鍬の病院の敷地内で、3匹の子猫が首や足を切断されて死んでいるのを院長(42)が見つけ、浦和西署に届け出た。同署は動物愛護法違反などの疑いで調べている。

 調べによると、子猫は生後3、4か月で、病院裏の地面に半径約2メートルにわたって散乱していた。2匹の胴や血痕などが現場付近に見当たらないことから、同署は、何者かが別の場所で切断した後、病院の敷地に置いたとみている。

 埼玉県内では25日にも、さいたま市に隣接する上尾市で、飲食店の敷地内に切断された子猫の頭が置かれる事件があり、上尾署が捜査している。

[ 2002/05/28 読売新聞 ]
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 猫虐待の写真をネットで公開、容疑の男を書類送検

 猫のしっぽや耳を切って撮影した写真をインターネットで公開したとして、福岡県警と警視庁は22日、福岡市東区の無職の男(26)を動物愛護法違反容疑で福岡地検に書類送検した。男は「写真を公開すれば目立つと思った」と話しているという。

 調べでは、今月6日夜から7日未明にかけて、自宅近くにいた野良猫を連れて帰り、自宅の浴槽でペンチを使って耳やしっぽを切ったり、針金で首を縛ったりして虐待した疑い。「虐待後、外に放し、殺していない」と話しているという。男は虐待の場面をデジタルカメラで撮影し、インターネットの掲示板「2ちゃんねる」で公開していた。

 男は「かわいかったので連れて帰った。浴槽にフンをしたので、カッとなって懲らしめてやろうと思った」と話しているという。男はこの掲示板に度々投稿しており、ネット上では旧ナチス・ドイツ親衛隊の幹部名を名乗っていた。「写真を公開すれば目立つと思ったが、これほど反響があるとは思わなかった」と話しているという。

 県警などによると、公開されていた写真は7枚で、最初は猫がエサを食べる場面から始まり、しっぽや耳を切断された姿や、「私は敗北主義者です」などという落書きと一緒につるされた場面が写されていた。

 県警では、画像の発信記録などから男を割り出した。ネット上に公開された直後から、動物愛護団体や掲示板を見た人から苦情が寄せられ、警視庁に73件、県警に四十数件の取り締まりの要望が寄せられていた。

[ 2002/05/22 朝日新聞 ]
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 ドイツ 動物愛護を憲法に盛り込む改憲案可決 夏に施行予定

 ドイツ連邦議会(下院)は17日、動物愛護を国家目標として基本法(憲法)に盛り込む改憲案を賛成多数で可決した。連邦参議院(上院)も通過する見通しで、夏には施行される予定。施行されれば欧州連合(EU)諸国では初めてとなる。

 今回、可決されたのは国の環境保護義務を定めた基本法20a条の改正案。「人間生活のための自然条件基盤」との条文の中に「動物も」と明記し、自然と動物の保護を国家の義務とした。

 連立与党の社会民主党と90年連合・緑の党は、「動物保護は基本的人権の尊重と同様に重要な要素だ」として、東西統一(90年)直後から基本法に盛り込むよう主張してきた。
 保守のキリスト教民主・社会同盟は「基本法規定は人間のためであるべきだ」として、これまで3回、同改憲案の成立を阻んできたが、理念的な改憲案にとどまったことから今回は賛成した。

 独の動物愛護団体は「動物愛護への第一歩だ」と一定の評価を与える一方、「改憲されても実態は何も変わらない。政権与党の9月の選挙戦に向けたポーズだ」と批判する声も出ている。

[ 2002/05/18 毎日新聞 ]
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 クローン 遺伝子に何らかの異常 羊ドリー生みの親が警告

 28日付の英紙サンデー・タイムズによると、世界初の体細胞クローン動物の羊ドリーをつくった英国のイアン・ウィルムット博士が、これまでにつくられたクローン動物すべての遺伝子に何らかの異常があるとみられるとの調査結果を発表した。
 博士は、イタリアや米国の医師が進めているクローン人間づくりに対し、遺伝子の欠陥を伴う危険が極めて大きいと強く警告した。

 博士は世界のクローン動物を追跡調査した結果、日常的に発生している異常として(1)羊、牛の場合は体の巨大化(2)マウスの場合、胎盤が正常の最大4倍に肥大(3)豚の場合は心臓の欠陥―を列挙。このほか発育障害、肺の異常、免疫機能不全、突然死などもみられた。

 博士は異常発生の原因として、DNAにくっついて細胞の機能を制御するメチル基の働きが、体細胞を移植するクローンと受精とで全く異なるためと推定。「問題が広範に発生しており、果たして完全に正常なクローン動物がいるのだろうかという疑問に行き着いた」と指摘した。

[ 2002/04/28 毎日新聞 ]
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 一億年前、哺乳類は樹上でも生活 最古の化石中国で発見

 哺乳類のうち、ヒトなどを含む真獣類の最古の化石が中国で見つかったと、米中の共同チームが英科学誌ネイチャー25日号で発表した。真獣類の化石記録はこれで一気に4000万年さかのぼり、1億2500万年前(中生代の白亜紀前期)まで跡づけた。
 恐竜絶滅より6000万年も前で、ティラノサウルスの登場以前。彼らはマウスほどの大きさで、恐竜を避け、樹上生活で生き抜いたらしい。

 現生の哺乳類は3グループあるが、有袋類、単孔類(カモノハシなど)は少数派で、母親が胎盤を持つ真獣類が圧倒的。他グループは絶滅した。

 今回の真獣類化石の発見地は中国遼寧省で、保存状態は極めて良く、骨格の周囲には炭化した毛皮の跡も残っていた。前長は約16aで、「暁の母」と「よじ登るのに適した骨格」を意味する「エオマイア・スカンソリア」と名付けられた。

 専門家は同誌に、「骨格から、妊娠期間は短く、ごく小さな子どもを産んで、おなかにぶら下げて育てていたのではないか。動物の死体や虫を食べていたらしい」と論評をよせている。

 国立科学博物館の冨田幸光・古生物第3研究室長の話
 貴重な標本だ。真獣類が1億年以上前から樹上生活をしていたことがうかがえる。真獣類の生活形態がその時点ですでに多様化していたことになり、その起源がさらに古いことを示唆している。

[ 2002/04/25 朝日新聞 ]
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 天才母譲り アユム2歳

 漢字や数字を覚えた天才チンパンジー「アイ」(25歳)の一人っ子「アユム」(雄)が、愛知県犬山市の京都大学霊長類研究所で誕生して、きょう24日、満2歳を迎える。アユムは1歳10ヶ月ごろから、アイを見ながら道具の使い方を覚え、研究所は「親から子へ、知識や技術が伝わる過程が観察できた」と研究成果をはなしている。

 研究所は、上部に5_の穴を開けたハチミツ入りの容器を用意。アユムは、アイが穴に針金を差し込んでミツをなめるのを見て、アイが使った道具だけを探し出して使うなど、同年齢の人間の子供とほぼ同じぐらいの知的発育レベルを示し、母親譲りの天才ぶりを発揮しているという。 

[ 2002/04/24 読売新聞 ]
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 犬専用の遊び場で論争

 横浜市青葉区で配られている地域情報誌「タウンニュース」で、「犬の遊び場」について論争が始まったのは、昨年5月のことだ。きっかけは、犬の放し飼い禁止の公園で犬を自由に遊ばせている人への不満を訴えた投書。投書欄に様々な反響が寄せられた。 

 「公園で放されたら、犬嫌いはどうしたらいいの」 「犬だって遊び場が欲しい」 「犬専用の場所をつくって」 「じゃあ、『犬税』を払って」・・・・・・。激論は、約2ヶ月間、計9回にわたって続いた。「愛犬派と嫌犬派の溝は深いようです」と編集部。 

 広い公園で犬をのびのび遊ばせたい飼い主と、フン害や放し飼いへの不満を募らせる人たち。そんな衝突を避ける工夫として、「ドッグラン」が注目されている。犬専用の遊び場のことで、欧米では一般的だ。

 北海道や埼玉県滑川町などには公設のドッグランもあるが、都心では実現が難しいようだ。千葉県浦安市の公園内にドッグランを造る計画は、「都心部初」と注目された。しかし、昨年度中に完成の予定が、「人のための施設整備が先」と近隣住民に反対され中断したままだ。

 ペットのために税金を使うことへの抵抗は強い。「ドッグランは迷惑施設、という意識が強く、趣旨の説明にも至れなかった」と担当者。今年度、計画地を公園外に移し、予算を計上した。だが、建設のめどはまだたっていない。

[ 2002/04/11 朝日新聞 ]
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 現在26匹 介助犬育成に公費助成

 厚生労働省は5日、身体障害者の手助けをする「介助犬」と「聴導犬」の育成・訓練に、公費助成制度を導入する方針を固めた。盲導犬育成の助成制度(一匹あたり150万円程度)を拡充するもので、2003年度にも実施する。

 介助犬は、体が不自由な人に付き添い、着替えを手伝ったり必要なものを取って来たり、という生活支援をする。また、聴導犬は、聴覚が不自由な人のために、電話の音を聞き分けて知らせるなどする。いずれも欧米では多数が活躍しているが、日本では育成を民間に頼っていることもあって、介助犬が26匹、聴導犬は19匹しかいない。

 育成への公費助成は、身体障害者の公共機関・施設利用に際して、盲導犬などの同伴拒否を禁じる身体障害者補助犬法案が、今月中に成立する見通しとなったことに伴う措置。同省は、介助犬などの育成・訓練を行う社会福祉法人の設立要件緩和を検討することなども検討している。

[ 2002/04/06 読売新聞 ]
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 救助犬奮闘! 初の国際試験

 震災や災害で、倒壊した家屋などに埋もれた人を捜し出す災害救助犬の国際試験が30日、東京・江東区で行われた。

 国内の救助犬は従来、民間団体がバラバラに認定しており、国際試験は初の試み。NPO法人「犬の総合教育社会化推進機構」が、国際救助犬連盟(IRO、本部・オーストリア)から審査員を招いて実現。二日間の試験には、国内資格を持つ19頭の救助犬が参加した。

 服従、捜索、熟練度の三項目からなる試験はいずれも本番さながら。人が立ち入れない危険な場所を想定して、救助犬が自主的に捜索する能力も試された。

[ 2002/03/31 読売新聞 ]
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 ペットのため飼い主にシツケ

 一生飼うこと / 親離れまで3ヶ月 / ネコは室内で
 「強制しないけど」中央環境審答申

 「ペットは捨てずに一生飼う」「親離れは3ヶ月待つ」・・・。中央環境審議会(環境相の諮問機関)は22日、新しい「ペットの飼い方の基準」を答申した。強制力はないが、飼い主の責任を強調し、人と動物が共生するために気を付けるべき項目を列挙。習性をよく理解するよう呼びかけている。

 新基準は99年に改正された動物愛護法に基づくもので、環境省は近く大臣に告示する。答申は、ペットの子どもが生まれて人に譲る場合、3ヶ月ほど親兄弟と過ごさせ、社会性を身につけさせてからにするよう求めた。幼いうちに離されると、人にかみついたり、無駄に鳴く原因になるためだ。

 ネコの室内飼いも勧める。近隣に鳴き声やふん尿で迷惑をかけることを防ぎ、事故や病気から守ることになるからだ。また、ペットが逃げた場合、発見しやすいよう名札や首輪をつける。学校や福祉施設では、獣医師などの指導のもとに飼う、などとしてる。

 野生動物を飼う人が増えていることから、珍しい動物が日本の生態系に入り込むと、在来の生物に影響を与えるおそれがあるとし、逃げ出さないよう十分に注意する必要があるとしている。

[ 2002/03/23 朝日新聞 ]
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 海生ほ乳類保護 「鯨にタッチ」は禁止 米政府が規制強化

 鯨に触ったり、野生のイルカと一緒に泳ぐのは駄目――。

 米海洋漁業局(NMFS)は5日までに、海に生きるほ乳類保護を徹底するために、人間と海のほ乳類との行き過ぎた接触行為を法律で規制する方針を決めた。

 当局者は「ホエールウオッチングや動物目当ての観光活動が急激に盛んになり、保護する上で害が及ぶようになってきた」としており、日本での規制の動きにつながる可能性もある。

 NMFSが規制対象とするのは、ボートで近づいて鯨に触ったり、イルカと一緒に泳いだりするなどの行為。いずれも、フロリダやハワイ、米国北西部の海岸で特に盛んだという。
 カヤックやカヌーで静かに近づいて、すぐ近くから写真を撮ったりすることや、陸上にいるオットセイやアシカに触ったり、一緒に写真を撮ることなども含まれ、こうした行為を海生ほ乳類保護法の「動物に危害を加えたり、いやがらせをする行為」として厳しく規制する方針という。

 鯨やイルカとボートとの接触事故や、人間の影響で海のほ乳類の親が子育てを放棄した例などが増えている。また、人間や人間が飼育する動物と共通した病気に海のほ乳類が感染する危険も出てきた、というのが規制強化の理由だ。(ワシントン共同)

 NMFS当局者は「これまで法律では『動物に害を与えない』といった抽象的な規定しかなかったが、最近の状況に応じ、具体的な規制策を決めた」としている。

[ 2002/03/06 毎日新聞 ]
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 アライグマ急増中 野生化し被害全国に拡大

 ペットとして国内に持ち込まれ野生化したと見られる北米原産のアライグマが全国各地に出没し、農作物などに被害を与える例が急増していることが、北海道大の池田透助教授の調査で分かった。ここ数年のうちに爆発的に繁殖する可能性もあることから、池田助教授は早期駆除や予防策の重要性を指摘している。

 池田助教授は、環境省の鳥獣関係統計データや新聞報道をもとに、アライグマの捕獲や目撃情報を都道府県別にまとめた。1960年度以前は全く報告例がなかったのに、90年度以降はそれが39都道府県に広がったとしている。

 農作物などへ被害を与える有害獣として駆除される頭数も増え、94年度には愛知県の1頭だけだったのが、99年度は北海道など4道県で470頭になるなど特定の地域で急増していることも判明した。

 アライグマは70年ごろから、テレビ番組の影響もあってペットとして人気が高まり輸入された。成獣で体重5〜10`、タヌキやキツネより一回り大きい。雑食性で稀少は荒く、飼育が難しいことから捨てられる例が増え野性化。

 都市近郊など人の生活環境を好むとされ、北海道の牧場や神奈川県鎌倉市の住宅地で大量繁殖が確認されている。

 

[ 2002/02/18 読売新聞 ]
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 クローンネコ「CC」 ペットで成功初 米の研究チーム

 米テキサスA&M大の研究チームは14日、体細胞クローンネコの作製に成功したと発表した。今まで羊やネズミ、ブタなどのクローン動物が誕生しているが、ペットの成功は世界ではじめてといい、死んだペットをよみがえらせることにつながる技術として注目される。この成果は21日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。

 同チームは、レインボーという名の雌ネコの卵巣にある卵丘細胞の核を採取し、核を除いた別のネコの卵子に移植。代理母ネコの子宮に戻したところ、昨年12月に一匹の雌ネコが誕生した。「カーボンコピー(複写)」の頭文字を取って「CC」と名づけられた子ネコは元気で異常もなく育っているという。

 このプロジェクトは、愛犬のクローン作りを望んだ資産家が同大に370万ドル(約4億9千万円)の資金を提供して実施された。

 この資産家は、ペットのクローン作りを請け負うベンチャー企業を設立、この企業では、将来、クローン動物作りが実用化した時に使えるよう、世界の愛犬、愛猫家などの依頼を受け、ペットのDNAの冷凍保存を請け負っている。

 DNA鑑定の結果、「レインボー」と「CC」の遺伝子は一致したが、体毛の色の分布は必ずしも一致しなかった。

 

[ 2002/02/15 読売新聞夕刊 ]
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 ネコの飼育は室内で 環境省が基準改正へ

 環境省は、動物愛護法に基づくペット飼育基準を改正し、ネコは室内で飼うようにと明記する方針を決めた。来年度から実施する。飼いネコが屋外で子供を作ることにより野良ネコが増えたり、ふん公害が起きたりすることを防ぐための措置。法的強制力はないが、自治体の条例制定を促し、飼い主の理解を求めたいとしている。

 動物愛護法は、ペットの飼育や管理の基準を環境大臣が定めることができる、としている。改正される基準では、ネコの室内飼いを推奨し、自由に外出できるようにして飼う場合は不妊・去勢措置の徹底を求める。

 環境省によると、自治体に引き取られるネコは、年間27万6000匹(99年)とイヌの約2倍。一因と考えられるのが屋外を歩き回る飼いネコによる繁殖だ。屋外でふんをしたり、鳴き声による苦情も頻発している。

 また、飼いネコのうち、室内飼いは約4割、外出自由のものが約6割という。ネコの室内飼いを求める条例を制定しているのは北海道だけ。東京都が制定を検討したことがあるが、動物愛護団体の抗議で断念した。同省は「室内で飼うことでネコが病気の感染や事故にあう危険も減る」と話している。

 このほか、アライグマやイグアナなど外国原産のペットを飼いきれなくなって、外に放つケースも増えているため、飼い主はあらかじめ、これらの飼育に関する知識を学ぶ必要性がある――といった文言も、新基準に盛り込む。

[ 2002/02/02 毎日新聞 ]
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 狂犬病ワクチン募金を呼びかけ  ネパールで接種開始

 狂犬病で亡くなる子どもが多いネパールで、日本人有志の募金をもとに、犬への予防ワクチン接種が始まった。

 狂犬病は動物にかまれることでウィルス感染し、発病するとほぼ100%が死亡するが、動物へのワクチン接種で防ぐことが出来る。募金は、学者や獣医師らによる「ネパールに狂犬病ワクチンを送る会」(加藤由子代表)が、98年から呼びかけてきたもので、これまでに全国から約400万円集まった。

 目標の一千万円には遠かったが、オランダの製薬会社から7万頭分のワクチンの寄付を受け、昨年12月、同会とネパール当局の合同事業として接種が実現。今も大都市を中心に接種が行われているが、来年以降のめどはたっていない。

 同会では「接種は繰り返し続けなければ意味がないが、資金不足で進まないのが実情」と、引き続き募金を呼びかけている。

 郵便振替 00100・3・76161 「ネパールに狂犬病ワクチンを送る会」へ。 問い合わせは加藤さん (03・3307・7439)。

[ 2002/01/17 朝日新聞 ]
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