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◆ 動物に関わる新聞記事(3) kiji81〜kiji120 ◆


 犬の強い味方?ネットで「夏バテ予報」を提供

 発表されたイヌのための気象情報「ワンちゃん夏バテ予報」=東京都内で 夏の暑さで飼い犬が体調を崩しやすい日を予報する「犬の夏バテ予報」を、日本気象協会とペットフードメーカーが7月1日から、インターネットで提供する。

 気温や湿度から人間より暑さに弱い犬の“不快指数”を計算、外出の可否や体調管理法もアドバイスする。

 獣医師の診察データや人間の不快指数をもとに、犬が熱中症になる恐れがある基準値を気温22度、湿度60%以上(人間は気温26度、湿度60%以上)と算出。47都道府県の1時間ごとの気温変化を24時間先まで予測し、基準値以下なら「ほぼ安全」、それ以上は「注意」「警戒」「厳重警戒」という計4ランクで示す。

 予報は8月31日まで、ペットフードメーカーが発売する「ペディグリー」のホームページ(http://www.pedigree-otenki.jp )で提供される。

[ 2005/06/22 読売新聞]
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 ペットのネット販売 大幅に規制 悪質業者締め出しへ

 インターネットを通じたペットの販売業が、大幅に規制される見通しとなった。15日に成立した改正動物愛護管理法を受け、環境省は省令を改正し、ネットによるペット仲介を専業とする業者に対し、厳しい規制を課す。病気の犬や猫を売るなどトラブルが後を絶たない中、悪質な業者を締め出す狙いだ。

 改正法では、悪質業者排除のため、業者を従来の届け出制から登録制に改めた。店舗やペットの保管施設を持つ業者に対しては、施設の構造や管理についての基準を作る。一方で、これまで届け出義務のなかった、店舗や保管施設を持たないネット、通販業者にも登録を義務づけた。

 省令改正で、ネットや通販などの無店舗業者には、(1)ペット輸送の際、一般の宅配業者ではなく、輸送中のトラブルに対応できるペット専門の輸送業者と契約させる(2)ネット上で獣医師による証明書を掲示させ、ペットの健康状態を消費者が事前に確認できるようにする、などを義務づける方針だ。

 同省によると、ネット専業の販売業者は全国に少なくとも100社ほどあるが、これまで届け出義務もなかったため、実態は把握しきれていない。省令が改正されれば、業者は新たな基準をクリアするよう、商環境を整備しなければならない。コスト面などから、ネット専業の業者は、現状のままの営業は難しくなるとみている。

 ペット販売の苦情は、03年に約1500件と94年の3倍に上った(同省調べ)。なかでも、ネットなど通信販売による苦情は、03年は200件と94年の6倍強になっている。トラブルとしては、病気の動物を売ったり、輸送方法が不適切なため動物が弱ったり死んだりするケースのほか、動物の年齢を偽る、血統書を届けない、などもある。店頭販売と異なり、消費者側が健康状態を確認しにくいことが、トラブルの原因になっている。

 同省は、通信販売についてもネット同様の規制を課す方針で、省令改正によって悪質な業者はほぼ一掃できるとみている。ただ、施設を持つ業者が、登録を済ませた上で、ネット販売を兼業する場合は問題ない。

[ 2005/06/20 朝日新聞]
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 犬・猫の飼育場所 「室内」が6割以上

 ペットフード工業会は、犬と猫の飼育についての調査結果をまとめた。単身者でペットを飼う傾向が強まり、飼育場所も室内が6〜7割にのぼった。

 昨年10月、インターネットで調査した。3424件の回答をもとに、全国の世帯で飼われている犬と猫の数を推計した。

 94年度の面接調査と比べ、犬の飼育数は約339万匹増の約1246万匹で、飼育率は1ポイント増の18・8%。猫は約548万匹増の約1164万匹となり、飼育率は7・1ポイント増の15・1%だった。

 飼育率を世帯形態別に見ると、2人以上世帯では、犬は0・5ポイント増の23・4%、猫(内猫のみ)は3ポイント増の12・9%。単身世帯では、犬が4・8ポイント増の8・2%、猫(同)が5・4ポイント増7・9%だった。

 飼育場所は、「主に室内」との回答が、犬で61・6%、猫は74・1%だった。同工業会は「ペットが飼えるマンションの増加や家族の一員としてとらえるようになったことが、影響している」という。 

[ 2005/05/18 朝日新聞]
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 ペット検疫強化、6月から入国にマイクロチップ義務化

 今年6月以降、海外からペットの犬や猫を連れてきても、一緒に帰宅できない人が続出するかもしれない。政府が狂犬病防止策を強化した結果、海外から日本に来る犬や猫にはマイクロチップを埋め込むことが義務化されるためだ。条件を満たさない犬や猫は帰国後、飼い主から離され、最長180日間の「係留検査」を受ける可能性がある。

 新制度は昨年11月に導入された。現在は経過措置として旧制度と併用されているが、今年6月からは完全実施される。
 従来の制度では海外で狂犬病の予防接種を1回済ませれば日本国内に連れ帰ることができた。新制度では、まず個体識別用のマイクロチップを埋め込まなくてはならない。

 予防接種が2回になるうえ、日本政府が指定する動物病院で狂犬病に対する抗体の有無を確認することが義務化される。これらの条件をクリアしないと、日本到着後、全国11カ所の「係留施設」で最長180日間、狂犬病が発症しないかどうか検査を受けるとされている。「発生がない」と日本政府が認めた英国や豪州など13カ国・地域を除く大半の国で、このような措置がとられる。

 ただ、マイクロチップは中国やロシアなどでは入手が難しい。指定病院は米国でも1カ所だけで、病院がない国も多い。海外に住む日本人から外務省に対して「これではペットを連れて帰れない」などの苦情や質問が相次いで寄せられている。

 外務省は、動物の検疫を担当する農水省に対して「住んでいる国によっては実行が極めて困難。配慮が必要だ」として、完全実施の延期を要請した。しかし、農水省は「先進国で日本の検疫は緩やかな方だ」(同省幹部)と反論。日本では狂犬病患者は長く出ていないが、中国などアジア各国では流行が見られるとして「水際対策」の必要性を強調した。

 両省間の調整の結果、問題があれば今秋にも制度を見直すことになったが、今年6月完全実施の方針は動かなかった。

[ 2005/03/07 朝日新聞]
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 特定外来生物 指定リスト、生態系保全第一に

 特定外来生物被害防止法に基づき輸入や移動などが禁止される特定外来生物の第1陣の指定リストが31日固まった。生態系への影響が指摘されるオオクチバスをめぐって結論が一転するなど、選定作業は混乱した。
 生態系被害の防止を掲げる一方、利用者にも配慮するなど、選定基準があいまいだからで、環境省は生態系の保全を第一に据えて選定に臨むという強い姿勢こそが必要だ。

 オオクチバスは当初、同省の専門家による会合が「駆除には釣り人の協力が欠かせない。理解を得るのに半年間は必要」との判断から、半年間の指定先送りを決めた。市場規模年間1000億円とも言われるバス釣り業界に配慮したためだ。ところが、小池百合子環境相の決断で一転、リスト入りとなった。

 農作物などへの被害が相次ぐジャワマングースやアライグマがリストに入る一方、在来種のカメに影響を与えているミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は「輸入数が多く、駆除も難しい。指定後に捨てられる危険もある」として指定されなかった。

 国内に定着した外来種は2000種以上にも上るという。生態系を守るための取り組みはまだ始まったばかりだ。オオクチバスなどのような混乱を引き起こさないためにも、予防原則に基づいた生態系保全の視点が求められる。

特定外来生物に指定が見込まれる生物
哺乳類タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、アライグマ、カニクイアライグマ、ジャワマングース、クリハラリス(タイワンリスを含む)、トウブハイイロリス、ヌートリア、フクロギツネ、キョン
鳥 類ガビチョウ、カオグロガビチョウ、カオジロガビチョウ、ソウシチョウ
爬虫類カミツキガメ、グリーンアノール、ブラウンアノール、ミナミオオガシラ、タイワンスジオ、タイワンハブ
両生類オオヒキガエル
魚 類オオクチバス、コクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ
昆虫類ヒアリ、アカカミアリ、アルゼンチンアリ
無脊椎動物ゴケグモ属の4種、イトグモ属の3種、ジョウゴグモ科の2属全種、キョクトウサソリ科全種
植 物ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ミズヒマワリ


[ 2005/01/31 毎日新聞]
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 補助犬使用者が協議会 法改正に向け連携

 盲導犬や介助犬など「身体障害者補助犬」の啓発や受け入れの促進を目指し、使用者たちが30日、連絡協議会を設立する。
 障害の違いを超えた使用者の全国組織は初めて。今年予定されている身体障害者補助犬法の改正に向け、「当事者の立場から、改善を訴えていきたい」としている。

 協議会を作るのは、「全日本盲導犬使用者の会」(約500会員)「聴導犬使用者タッチの会」(6会員)「日本介助犬使用者の会」(10会員)。
 公共機関などに同伴受け入れを義務づけた補助犬法は02年設立。03年10月からは、対象がホテルや飲食店など民間施設にも広がったが、理解はまだ十分とはいえない。

 全日本盲導犬使用者の会会長で協議会世話人代表の清水和行さん(43)は「各団体がばらばらに主張するのではなく、情報を交換し、議題を検討していく必要がある」と話している。
 当日は、現状と課題を考えるシンポジウムも開かれる。

[ 2005/01/28 朝日新聞]
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 ペット長生き…平均寿命イヌ11・9歳、ネコ9・9歳

 国内でペットとして飼われている犬と猫の平均寿命が急速に延びていることが、東京農工大の林谷秀樹・助教授の全国調査で明らかになった。

 人間の年齢に換算すると、1990―91年の調査時より、犬は約17歳、猫は約24歳も長生きするようになった。ワクチン接種が普及し、感染症が急減したため。死因は人間と同様、がんや心不全など加齢による生活習慣病が7割前後を占めている。

 調査対象は、37都道府県の121動物病院に来院し、2003年7月までの1年間に死んだ犬約3200匹、猫約1800匹。

 その結果、犬の平均寿命は11・9歳で、12年前より3・3歳長くなっていた。性差による平均寿命の差は見られなかったが、品種別では純血種が11・3歳、雑種が13・3歳と雑種の方が長生きだった。

 一方、猫は9・9歳で、12年前より4・8歳長生きするようになった。こちらは性差があり、オス8・7歳に対し、メスは11・1歳。品種別では純血種11・4歳、雑種9・6歳。

 平均寿命を押し上げているのはワクチン接種で、犬の場合、ジステンパーなどのワクチン接種率が70・1%で、12年前の39・8%から急増した。

[ 2005/01/12 読売新聞]
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 犬の飼い主に賠償命令 マンション階下の住人睡眠不足に

 マンションの階上の住人が管理規約に反して飼った犬の鳴き声がうるさくて睡眠不足になったとして、名古屋市中村区の男性らが階上住人に犬の飼育禁止と損害賠償約260万円を求めた訴訟があり、名古屋地裁は15日、階上の住人に102万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。

 判決によると、原告の男性と妻は会社の社宅である名古屋市中村区のマンション2階に居住。02年6月ごろ、3階の住人が管理規約に反してバセットハウンド犬1頭を飼っていることに気づいた。夫婦は犬の鳴き声や足音に悩まされるようになって睡眠不足になり、夜は別に借りた部屋で寝るようになった。

 階上の住人は弁論期日に出廷せず、答弁書なども提出しなかった。

 判決で岡田治裁判官は、男性の精神的苦痛への慰謝料は40万円が相当と判断。寝るために別の部屋を借りたことも、犬を飼ったことと因果関係があるとして、引っ越し費用などの賠償を命じた。

 男性らは犬の飼育中止も求めていたが、岡田裁判官は飼育が不法行為であることは認めたものの、「男性の部屋の所有権や占有権が侵害されたとは言えない」などとして退けた。

[ 2004/12/16 朝日新聞]
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 狂犬病発症の15歳少女、薬物治療だけで奇跡的回復

 有効な治療法がなく、人が発症すると100%が死に至るとされる狂犬病で、ワクチン接種を受けていない15歳の少女患者を薬物治療だけで救命することに米ウィスコンシン州の病院が成功した。

 米疾病対策センター(CDC)が25日、ワクチンを使わない世界初の生存例であることを確認した。

 CDCによると、発症後の生存例はこれまでに世界で5人いるが、いずれも狂犬病の症状が起こる前にワクチン接種を受けていた。

 少女は今年9月、狂犬病ウイルスに感染したコウモリにかまれたが、発症を防ぐためのワクチン接種などをしなかったため、先月中旬に神経症状などが現れ、入院した。

 医師団は少女の神経症状を抑え、強い薬剤の影響から弱った神経系を守る目的で、麻酔薬と抗ウイルス剤の計4種による「カクテル療法」を決断。少女は奇跡的に回復し、神経系へのダメージや著しい衰弱が残るものの、24日の時点で、家族の問いかけに答えたり、起きあがったりできるようになったという。CDCの分析でウイルスの除去も確認された。

 世界保健機関(WHO)の統計によると、狂犬病による死者はアジアやアフリカを中心に世界で年間3万5000―5万人。

[ 2004/11/27 読売新聞]
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 猟犬に「外出禁止」令 フランス3県、狂犬病感染防止で

 狩猟シーズンが始まったフランス南西部でこのほど猟犬の「禁足令」が発令された。
 狂犬病で死んだ飼い犬と接触した犬の所在がまだ分からず、猟犬がみだりに出歩けば感染する可能性がある、との理由。解禁を心待ちにしていたハンターは落胆し、地元メディアは「クリスマスイブに子供からクリスマスツリーを取り上げるような暴挙」と怒りの声を伝えている。

 禁足令が出されたのはジロンド県など南西部3県。同県では8月末、モロッコから違法に持ち込まれた子犬が狂犬病で死んだ。
この子犬が死ぬまでの3週間、飼い主と公園や音楽祭などを訪れ、子供や他の犬にかみついていたことが判明し、大騒ぎになった。

 発症すれば、ほぼ100%が死ぬ伝染病とあって、保健当局は子犬と接触したと届けた市民にワクチンを接種。犬約50匹を安楽死させた。だが、子犬と接触した市民5人と犬6匹の所在は、いぜん不明なまま。1〜2カ月とされる潜伏期限が近づき、当局は「新たな発症」に神経をとがらせている。

 一般の飼い犬でも、予防接種をしていない犬は隔離した。一部地域では怒った飼い主が抗議集会を開いた。猟犬は獲物を追ったり、仕留めた獲物を探したりするのに欠かせない。怒ったハンターの訴えで一部地域では禁足令排除の裁判所命令が出たが、同情した別の県からは「ぜひうちに狩猟をしに来て」との申し出もあった。

[ 2004/09/28 朝日新聞]
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 狂犬病発生国の子犬、「10カ月未満」の輸入を原則禁止

 狂犬病の国内侵入を防ぐために動物検疫制度を見直していた農林水産省は20日、狂犬病発生国からの生後10カ月未満の子犬輸入を原則禁止にするなどの新制度を取りまとめた。年内に省令改正をし、実施していく方針。農水省は同日、関係団体などに10カ月未満の犬と猫の輸入を自粛するよう協力要請をした。

 専門家による検討会がこの日開かれ、新制度に合意した。狂犬病発生国から輸入する場合、輸入時の検査期間を12時間以内と短縮する一方、2回のワクチン接種を義務づけるなど事前の管理を厳しくした。事前管理が不十分な場合は、検疫施設に原則180日間とどめる。また、犬の識別にはマイクロチップなどを導入する。

 農水省によると、狂犬病発生国から03年に輸入された10カ月未満の犬は約7900匹で、実験犬を除く約4千匹に影響が出るとみている。

 前回の検討会まででは11カ月未満としていたのを10カ月未満と変更したことについて、座長の吉川泰弘・東京大大学院教授は「接種したワクチンの効果があがる期間を検討し直したため」と説明した。

[ 2004/07/21 朝日新聞]
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 「動物実験に統一ガイドラインを」日本学術会議が提言

 日本学術会議は15日、「動物実験に対する社会的理解を促進するために」と題した提言をまとめ、国内で統一された動物実験ガイドラインの制定と、その実効性を担保する第三者評価システムの構築を呼びかけた。

 現在の大学や研究機関による自主管理では、日本には動物実験の規制がないと国内外から誤解され、客観性、透明性にも問題があったという。

 提言によると、全国統一のガイドライン制定で規制基準が明確になる。第三者による評価機構は、動物実験の専門家などのチームで組織され、自主管理が適正かどうか評価して認証や是正勧告を行う。米国に本部がある「実験動物管理評価・認定協会」など国際的な評価機関との相互認証も目指している。

 統一ガイドラインは今年度内にも制定する。

[ 2004/07/16 朝日新聞]
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 イヌの全遺伝情報を解読、25億個の塩基対 米国立研

 米国立ヒトゲノム研究所は14日、イヌのゲノム(全遺伝情報)を解読し、配列の概要をインターネットで公開した。約25億個の塩基対からなっており、約30億個のヒトや、すでに解読を終えたマウスなどのゲノムと近い数だという。

 同研究所によると、イヌの中で、最も遺伝的変異が少ない種類の一つ、ボクサーを解読の対象に選んで調べた。

 イヌは、品種改良が重ねられた結果、がんや心臓病、視覚・聴覚障害、自己免疫疾患などにかかる傾向が出てきている。解読結果は、そうしたヒトでは研究できない遺伝病の研究や、行動遺伝学、薬学研究への活用が期待されるという。

 解読作業は昨年6月に始められた。同研究所の支援を受けた研究者らがヒトとの比較を調査中で、数カ月後に発表する予定。

[ 2004/07/16 朝日新聞]
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 子犬の輸入、来春禁止へ 狂犬病発生国の11カ月未満

 子犬や小型犬を中心としたペットブームが続く中で、農林水産省は犬の輸入検疫制度の大幅な見直しに乗り出した。狂犬病の侵入阻止が眼目で、専門家による検討会が今月、狂犬病発生国からの生後11カ月未満の子犬輸入禁止などの新制度案を取りまとめる方針だ。輸出国でのワクチン接種など事前の管理を厳しくする一方、国内に持ち込んだ際の検査期間を短縮して、愛犬家にも配慮する。同省は来春までに制度を改正する考えで、ペットの輸入現場は大きく変わりそうだ。

 「ストレスがたまっていないか心配でしたが、元気でひと安心です」

 埼玉県川口市の若林美恵子さん(44)は6月半ば、千葉県の成田空港動物検疫所成田支所に留め置かれていた愛犬のミニチュアシュナウザーを引き取った。それまで住んでいたブラジルから5月末に帰国したが、狂犬病発生国からの持ち込みだったため、愛犬は最短でも14日間、検疫所に留め置かなければならなかった。

 狂犬病の恐れがない豪州や台湾など13カ国・地域から持ち込む場合は、検疫所での短時間の検査だけで、犬は輸入業者や飼い主の元に戻る。しかし、実際に輸入されている犬は狂犬病発生国に指定されている米国からが最も多く、人気が高い子犬についてはタイやフィリピンなどからの輸入が目立つ。発生国の場合、これまで14〜180日間は検疫所などに留め置かれてきた。

 今回、農水省の委嘱を受けた検討会ではこの輸入時の検査期間を「原則即日(12時間以内)」と大幅に短縮する方針で、犬の所有者にとっては朗報になりそうだ。

 検査期間を短くする代わりに、外国での犬の所有者や輸出業者には事前の管理を厳しく課すことにする。

 発生国から日本に輸出する際に義務づけられている予防接種を、これまでの1回から最低2回に増やす。1回目は生後3カ月以降とし、2回目は早くてもその1〜2カ月後。日本への輸出までにはさらに半年強の待機期間を設ける方針だ。この結果、発生国から生後11カ月未満の子犬輸入は認められなくなる。

 子犬・小型犬ブームで、一昨年から昨年にかけて年間の輸入犬は5000匹以上増えている。発生国から輸入される生後11カ月未満の犬は、昨年だけで1000匹前後にのぼるとみられ、新制度でペット市場に影響が出そうだ。

 神奈川県内のペット店は「子犬は小さければ小さいほど可愛く、人気がある。生後1年ほどになると販売価格も半額程度に下がり、売りづらい」と渋い顔だ。一方、東京都内のペット業者は「輸入の子犬は病気の危険がある。数が減れば子犬の値段は高くなるかもしれないが、一部の悪質業者も減るのではないか」と期待する。

 また、輸入犬がワクチン接種をしたかどうかを確認できるように、豪州やドイツなどで普及するマイクロチップを導入する。直径2ミリ、長さ11〜13ミリのガラスカプセルにICチップなどが内蔵されており、犬の肩の皮下などに埋め込み、読み取り機をあてると、飼い主名や住所などの情報が15ケタの数字で示される。

 日本獣医師会の大森伸男専務理事は「輸入時だけでなく、どこで生まれた誰の犬かを管理するのにも役立つ。これを契機に、さらにチップを普及させてほしい」と話す。

[ 2004/07/02 朝日新聞]
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 感染死:臓器移植で狂犬病、3人死亡 米国

 米疾病対策センター(CDC)は1日、狂犬病に感染した臓器提供者(ドナー)から移植手術を受けた患者3人が相次いで死亡したことを明らかにした。解剖の結果、いずれも狂犬病に感染していたことが確認された。臓器移植による狂犬病の感染が確認されたのは米国で初めて。ドナーが感染していたことは移植前には分かっておらず、CDCなど衛生当局は対応に苦慮している。

 発表によると、ドナーはアーカンソー州の男性で、テキサス州の病院で脳死と判定された後、肺と腎臓、肝臓が摘出され、5月4日に4人の待機患者に移植された。1人は移植手術中に死亡したが、6月7日から21日にかけて他の3人も相次いで死亡した。手術中に死亡した患者は狂犬病が死因ではなかった。

 ドナーは死亡当時、狂犬病の症状が表れておらず、移植前に特別な検査は受けていなかった。CDCによると、狂犬病はドナーの適格審査の項目には含まれていない。これまで角膜移植で狂犬病が感染した例は報告されているが、臓器移植では前例がないという。

[ 2004/07/02 毎日新聞]
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 愛犬ナナ:帰ってきた忠犬 1キロやせたけど無事に 山中に姿消し7日

 山梨県南アルプス市芦安芦倉の千頭星(せんとうぼし)山(標高2138メートル)で13日に下山途中の飼い主がクマに襲われ、行方が分からなくなっていた雑種犬「ナナ」(5歳、雌)は19日、ふもとの畑付近でうずくまっているところを地元の人に見つけられ、飼い主の元に帰った。ナナにけがはなかったが、やせて疲れていたため、20日に動物病院で診察を受けたが、体重が約1キロ減っていただけだった。6日ぶりの対面となった飼い主に「よく頑張ったな」と頭をなでられたナナは、うれしそうに尾を振っていたという。

 行方が分からなくなったナナを心配していた飼い主の男性(43)=同県韮崎市=の所に、よく似た犬を、襲われた所から直線で約5キロ離れた集落で見かけたとの情報が寄せられたのは18日午後。情報を基に男性は18日、19日の日中、ナナの目撃情報のあった地域の住民に尋ねて回ったが、見つからなかった。だが、19日午後6時ごろになって、日中にナナのことを尋ねた農家の女性から「近所の人が見付け、私の自宅で保護している」と知らせが入った。

 男性が駆けつけると尾を振って喜んだが、「元気か」と声を掛けても、疲れている様子だった。自宅に戻ったナナは、家族から「つらかったね。もう大丈夫よ」と声を掛けられると、安心したのか、ゴロリと寝そべった。

 男性は「クマがナナを追わなければ命の危険もあった」と言い、感謝の意味も込め、普段はカロリーが高く与えていなかった肉の缶詰を食べさせた。

 また、「(私は)クマに襲われ出血がひどく、片足が使えないまま下山するしかなく、ナナのことまで気が回らなかった。ナナにけががなく、ほっとした。ナナを心配し、励ましを頂いた多くの愛犬家の方にお礼を言いたい」とも話した。

[ 2004/06/21 毎日新聞]
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 クマに襲われた飼い主を守った犬

 山梨県南アルプス市芦安の大馴鹿(おおなじか)峠で13日、下山途中の同県韮崎市本町、自営業、Mさん(43)が、前方のクマザサのやぶから飛び出してきた体長約80センチのクマに襲われた。

 足でけるなど抵抗したが、手足をかまれて約2週間のけが。連れていた愛犬「ナナ」が激しくほえて走り出したため、クマはナナを追って走り去った。

 捨て犬だったナナは5歳の雌。三上さんは「恩返しをしてくれた」と涙ぐみ、ナナの帰宅を待っている。

[ 2004/06/14 毎日新聞]
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 利口な犬は200語分かり、「物に名前」も理解

 犬は「お座り」「お手」などを理解するだけではなく、基礎的な言語能力を備えている――。ドイツの研究チームが、ある犬を調べたところ、約200語の語彙(ごい)があり、物にはすべて名前があると理解するなど、言語を操る前提となる能力をある程度備えていることが分かった。11日付の米科学誌サイエンスに発表する。

 独マックスプランク研究所のチームが注目したのは、現在9歳のオスのボーダーコリー犬「リコ」。生後10カ月から、飼い主に「ボールを取って来い」などと訓練され、白ウサギ人形の「シリーキッド」などおもちゃなどに付けられた名前を覚え始めた。研究チームは、リコが飼い主の表情を見て物を選ばないよう、隣の部屋に置いた物を取って来るように命じる実験をし、9割以上の正解率を得た。ボールや靴下、バナナなど約200種類の名前を覚えていることが確かめられた。

 リコが名前を知っている7種類の物に新しい1種類を加え、新しい物を取って来させる実験でも7割の正解率だった。新しい名前を聞き、知っている物以外を取ってくる「消去法」で選んだと考えられる。

 1カ月後に、全く新しい物が交じる中から、前回初めて見せた物を取って来させる実験をしたところ5割の正解率で、名前を覚えていたと考えられた。3歳の幼児と同じ程度だという。

 研究チームは「消去法で言葉の意味を推測したり、学んだ知識を記憶したりという基礎的な能力を人以外の動物も持つことが分かった」とみる。

 松井智子・国際基督教大学準教授(言語学)は「幼児の方が語彙が圧倒的に多いなど、人との差は大きいが、犬にも高い言語能力があると示した点で面白い」と話す。

[ 2004/06/11 朝日新聞]
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 ネコ 9500年前にペット? 人とともに埋葬

 フランスの国立自然史博物館(パリ)などの発掘チームが、地中海のキプロス島の約9500年前の遺跡から、人と一緒に埋葬された猫の骨を発掘した。発掘チームは「猫の骨に、と殺された跡がなく、埋葬の状況から人との親密な関係が感じられる。この猫が最初のペットの猫だったかもしれない」と分析している。8日付の米科学誌「サイエンス」に発表した。

 これまでは古代エジプト時代(4000〜5000年前)の壁画に、首輪のある猫が描かれていたことから、この時代には猫がペットになっていたと考えられてきた。

 同チームは、キプロス島の新石器時代の遺跡を発掘した結果、たくさんの宝石や石器、貝殻が一緒に埋められた人の墓を見つけた。そして、人の骨から約40センチのところに、猫の全身骨格があった。猫は、小さな穴の中に土をかぶせた形で埋葬されていた。頭は人と同じ西側を向いていた。猫の骨は全長約30センチで、生後8カ月程度の幼い猫とみられる。

 同チームは「ネズミを追い払うなど農業の役畜として飼われたのではなく、より精神的なシンボルとしてかわいがられていたのではないか」としている。

 人と動物の関係に詳しいスイス・チューリヒ大のデニス・ターナー教授は「非常に興味深い発見だ。人の近くに埋葬されていたことは、人との近い関係を示している。猫と人間の歴史を大きくさかのぼる成果で、癒やしなど精神的なつながりがあったのではないか」と話している。

[ 2004/04/09 朝日新聞]
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 ブラジルで吸血コウモリ襲来、媒介ウイルス死者13人

 ブラジルのアマゾン川流域で、吸血性のコウモリが地元住民を襲い、コウモリが媒介した狂犬病ウイルスの感染によって、少なくとも13人が死亡した。AP通信などが4日伝えた。

 北部パラ州の保健当局者によると、被害が発生したのはアマゾン川の河口に近いポルテル地区。3月2日以降、親指大のコウモリが住民計約300人を次々と襲い、かまれた19人からウイルスが確認された。死者がさらに増える可能性もあるという。

 中南米の吸血コウモリは通常、鳥や家畜などの血を吸う習性があるが、これほど多数の人間が被害にあうのはまれ。地元科学者は、一帯の森林伐採による生息環境の変化が関係している可能性もあるとしている。

 コウモリは、中南米産の種に限らず、狂犬病に酷似した症状の「リッサウイルス感染症」などを媒介し、かまれると筋肉や神経がマヒし、死に至る恐れがある。日本でもペット用などに毎年百数十匹が輸入されていたが、厚生労働省は2003年、感染への恐れを理由に輸入を全面禁止した。

[ 2004/04/04 読売新聞]
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 4ヶ月未満の子犬の輸入自粛を要請 狂犬病対策で農水省 環境省調査

 海外からの狂犬病侵入を防ぐため、農林水産省は23日、生後4ヶ月未満の子犬を、狂犬病発生国などから輸入するのを自粛するよう、ペットの小売業界や航空、船舶関係など計20団体に要請した。

 国内では1957年以降、狂犬病は報告されていないが、中国で狂犬病による死者が急増するなど世界各地で狂犬病が発生している。
また、チワワやプードルなどの小型犬ブームで輸入数が増えているにもかかわらず、子犬は狂犬病の予防注射の効果が十分期待できないことなどを踏まえた措置という。

 狂犬病が発生していないと日本が現在認定しているのは、英国や台湾など13ヶ国・地域。これ以外のところからの輸入自粛を求める。

 農水省によると、犬の輸入は、02年が約1万2300匹だったが、03年には1万7400匹に増えている。このうち子犬は03年で全体の約27%を占めているという。

[ 2004/03/24 朝日新聞]
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 犬の鳴き声 金属プレス機よりうるさい 環境省調査

 ペットをめぐるトラブルで件数が多いイヌの鳴き声について、環境省が初めて実施した騒音レベルの調査結果が明らかになった。大型犬のラブラドルレトリバーやディズニー映画「わんわん物語」に登場するアメリカンコッカースパニエルがほえた時の声は、工場で使われる金属プレス機の音よりうるさかった。同省は「イヌの鳴き声は騒音レベルが高く、飼い主側の対応が求められる」と話している。

 調べたのは、シェパードやビーグル、ミニチュアダックスフンドなどを含む計11種類26頭。イヌから5メートル離れた場所で、ほえた時の騒音レベルを測定した。

 ラブラドルレトリバーとアメリカンコッカースパニエルの鳴き声は92デシベルで、金属プレス機から5メートル離れた場所で測定した騒音(90デシベル)を上回った。シェパードやゴールデンレトリバー、ミニチュアダックスフンドの鳴き声も、5メートル離れた場所で聞く大型自動車の走行音(86デシベル)よりうるさかった。

 家の外1メートルでほえたイヌの声は室内で聞いても15〜20デシベルしか下がらず、多くのイヌの鳴き声は昼間のテレビの音(67デシベル)をかき消してしまうことが分かった。

 02年度に東京都、横浜市、大阪市に寄せられた飼い犬に関する苦情は計2万1420件。そのうち10%は、鳴き声がうるさいという内容だった。

 環境省動物愛護管理室は「飼い主にはうるさくなくても、イヌの鳴き声は近隣の迷惑になる。飼い主は、無駄ぼえしないようにしつけたり防音の工夫をした犬小屋を使うことが求められる」と話している。

イヌの鳴き声の騒音レベル
ラブラドルレトリバー 92デシベル
アメリカンコッカースパニエル 92デシベル
シェパード 91デシベル
ゴールデンレトリバー 91デシベル
ビーグル 89デシベル
ミニチュアダックスフンド 89デシベル
ホワイトテリア 86デシベル
柴犬 86デシベル
シェルティ 85デシベル
ボーダーコリー 84デシベル
ポメラニアン 76〜80デシベル

[ 2004/03/18 毎日新聞]
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 鳥インフルエンザ 「学校巡回で不安払拭」 相模原市獣医師会

 相模原市獣医師会(後藤克正会長、会員26名)は、鳥インフルエンザに対する不安を払拭するため、鳥類を飼育している市内の小学校や幼稚園、保育園の巡回指導をはじめた。

 後藤会長によると、京都府丹波町などで死んだカラスから鳥インフルエンザウィルスが検出されたことが判明した7日以降、市民から同会への問い合わせが急増。児童を校内の鶏舎に近づけないようにした小学校も出始めたという。

 このため、10日から会員が手分けして、鳥類を飼育している50の小学校と20の幼稚園(及び8の保育園:星ヶ丘動物病院が追記)を対象に、飼育状況の観察やアドバイスを始めた。巡回指導は19日まで続ける。

 後藤会長は「人間が罹患する可能性は非常に低い。正しい知識を持って冷静に対処してほしい」と話している。 

[ 2004/03/12 読売新聞(相模版) ]
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 「ボス猿」の呼称やめて「αオス」に 大分・高崎山

 日本のサル学発祥の地とされる大分市の高崎山自然動物園は16日、群れの序列1位の雄猿について「ボス猿」の呼称をやめ、17日以降は「α(アルファ)オス」と呼ぶ、と発表した。
近年の調査研究で、「ボス猿」が群れを支配しているわけではない実態が明らかになり、研究者の間で定着している用語を使うことにした。ただ、53年の開園以降半世紀にわたって慣れ親しまれてきた呼称が消えることを、惜しむ声もある。

 最も順位の高い雄猿をどう呼ぶかの検討では、従来通りの「ボス」や、「1番」「トップ」なども候補に挙がった。ギリシャ語で「1位」を意味する「α」は一般人にわかりにくいという指摘もあったが、同園は「正しい情報を伝える役目がある」と判断したという。

 「ボス」は50年代、野生猿の餌つけに成功した宮崎・幸島や高崎山で、京大名誉教授の故今西錦司、故伊谷純一郎両氏らにより、群れを統率するリーダーの意味で使われ始め、全国に広まった。だが、近年の研究で、餌の優先権はあるものの、人間の「親分」のように権力を持ち利益を独占するわけではなく、長老のような存在であることがわかってきた。

 杉山幸丸・元京大霊長類研究所長は「『ボス』が実態にあわないのは研究者の常識。『アルファ』はわかりにくいが世界的には違和感のない用語」と話す。一方、高崎山で30年以上ガイド歴のある職員は「『アルファ』は研究室ならまだしも、観光地には似合わない」と、呼び名が消えるのを惜しんでいる。

[ 2004/02/17 朝日新聞 ]
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 動物愛護法改正へ ペット業者規制など検討 環境省

 環境省はペット業者やブリーダーなどの動物取扱業者に対する規制強化、実験動物の飼育環境の改善などを柱に、動物愛護法の改正に取り組む方針を決めた。
 6日に専門家による検討会の初会合を開き、05年春までに法改正の基本方針をまとめる。

 現行法では、動物取扱業は都道府県知事に届け出るだけで開業できる。届け出制のため、業者が動物を劣悪な飼育環境に置いても、都道府県は営業停止などの厳しい罰則を科すことができない。
 都道府県の担当者が立ち入り調査して改善勧告・命令を出すことはできるが、命令に違反しても30万円以下の罰金が科されるだけだ。

 環境省によると、イヌやネコを狭いオリに閉じ込め、過剰な繁殖をさせるブリーダーなどが「30万円払えば済む」と、違反を繰り返す悪質なケースも多い。
 このため、同省は業者を登録制にして規制を強め、専門的な知識を持つ技術者を置くことを義務付けたり、命令に従わない場合は営業停止処分にすることも可能にする法改正を目指す。

 また、ラットやマウスなどの実験動物、牛や鶏など畜産で飼われている産業動物については、明確な飼育規定が盛り込まれていない。
 欧州では、実験動物を扱う業者や研究施設は免許が必要とされるほか、産業動物の飼育や運搬についても詳細な規定がある。
 検討会では、これらの動物について、法規制と自主的ガイドラインに基づく環境改善のどちらが適切かなどを議論する。

[ 2004/02/05 毎日新聞 ]
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 生後1〜2カ月のイヌ・ネコ、販売自粛へ新基準案

 環境省・中央環境審議会の動物愛護部会は14日、生まれたての動物は販売を自粛するなどの基準を盛り込んだ、ペットショップなどでの飼育基準改正案をまとめた。
 28年ぶりの改正で、逃げ出したり捨てられたりした動物の所有者が分かるよう、皮膚に埋めたマイクロチップで記録台帳を整備することなども求めている。
 一般の意見を反映させたうえで4月下旬から新基準を告示する。

 従来の基準は、観覧や販売、興行など目的ごとの飼育方法の区別がなかった。ペットショップで狭いオリに入れられるなどの劣悪な環境が問題になってきたため、全面的な見直しを進めてきた。

 今回は施設によって基準を分けた。社会性が身についていない生後間もないイヌやネコは飼い主になつかないまま捨てられる事例が多いことから、ペットショップには生後1〜2カ月での販売を自粛するよう求める。

[ 2004/01/15 朝日新聞 ]
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 環境省:動物展示施設での飼育基準を見直し

 環境省は11日、動物愛護法に基づく動物園やペットショップなど動物展示施設での飼育基準を見直すことを決め、中央環境審議会に諮問した。基準の抜本的な改正は76年の基準制定以来初めて。「動物福祉の向上」という視点を新たに加え、動物本来の生活に近づけた飼育環境の確保や、ペットショップでの適正飼育の徹底などを目指す。

 従来の基準は動物園での飼育が主な対象で、ペットショップに関する記述はほとんどなかった。内容も、施設の管理基準や虐待につながる展示の禁止が中心だった。

 新基準では、動物の健康や見る人の安全確保だけではなく、動物の生活の質の向上を柱にする。

 具体的には、動物が本来生活している自然にできるだけ近い森や草原などの環境を再現して飼育するとともに、動物の年齢や体調にあわせた対応を求める。

 ペットショップなどの販売・繁殖施設についても細かく基準を設ける。ペット用の動物は生まれてすぐ親と引き離されることが多いため、親子一緒の飼育を一定期間確保することによって、社会性を獲得させる。

 また動物の販売者に対しては、購入者がペットを安易に手放さないように、動物の習性や適切な飼育方法を説明することを求める。

 中環審は、今年度中に新たな基準を取りまとめ、答申する方針。

[ 2003/12/12 毎日新聞 ]
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 北京 狂犬病ワクチン接種者が増加、今年は10万人に

 北京市では近年、ペットの増加とともに狂犬病ワクチン接種を受ける人が年々増加しており、今年は約10万人に達する可能性が出てきた。高いワクチン接種率により、北京では過去10年間狂犬病が発生していない。

 しかし、北京市疾病予防控制センターの専門家は24日、狂犬病の予防と治療に関する国際シンポジウムで、「狂犬病発病者は全国では増加傾向にあるため、犬の管理を強化しなければ、北京市でも狂犬病が再発する危険性がある」と指摘した。

 衛生部の統計によると、2002年の全国の狂犬病発病者は1122人で、2000年の2.2倍。北京市疾病予防控制センターの張雪春医師は、「狂犬病の予防に最も有効な方法は犬の管理強化」と強調ししている。

 また、北京市で狂犬病ワクチンを接種する人が近年増加している背景として、狂犬病予防に対する市民の意識・保健知識の向上のほかに、観賞用・未登録犬の増加があることを指摘した。

[ 2003/11/25 朝日新聞 ]
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 ペットの痛み、しぐさで判定 獣医師ら基準作成めざす

 ペットの犬や猫が感じている体の痛みに、飼い主や獣医師がどう対処すればいいのかを検討する「動物のいたみ研究会」を、獣医師らでつくる動物臨床医学会(理事長=山根義久・東京農工大教授)が始める。16日に大阪市でシンポジウムを開く。しぐさなどから痛みの程度を数値化し、痛み止め薬をうまく使う基準づくりを目指す。

 けがの治療などは数多く行われているが、術後の痛みのケアが不十分な例も多い。ひどい痛みを我慢できずに縫い合わせた傷口をかみ切った例や、ストレスで胃腸の障害を起こした例もある。痛み止め薬をうまく使えば、食欲がでてきたり早くリハビリを始められたりして回復が見込める。

 山根教授によると、ペットがじっとして震えていたり、触ろうとするとかみついたり、餌を食べなくなったりすると痛みを感じている可能性がある。けがが治っているように見えても注意が必要だという。

 研究会では、犬や猫のこうしたしぐさから痛みの程度を判定する基準づくりをすすめ、来年度に公表する予定だ。体の大きさや品種、病気の種類などを考慮した対処方法も検討するという。

 山根教授は「基準づくりをすすめて獣医師の意識を高めるとともに、飼い主へも痛みのケアの重要性を訴えていきたい」と話している。

[ 2003/11/15 朝日新聞 ]
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 捨て犬猫をデータベース化、全国から第二の飼い主捜し

 全国の動物愛護センターなどに保護された捨て犬や捨て猫の特徴をデータベース化し、元の飼い主や新たな飼い主に引き取ってもらおうと、環境省が「インターネット犬猫情報網」の整備に乗り出すことになった。

 全国では毎年、約50万匹の犬猫が保護されるが、ほとんどが引き取り手のないまま処分されている。環境省は、責任を持って犬猫を世話してもらえるよう、引き取りを希望する飼い主には、飼育講習会を受けるよう義務付け、犬猫に個体識別マイクロチップの埋め込みも促す考えだ。

 保護された犬猫の情報に関しては、既に東京都が一昨年秋から、インターネットで提供している。都の場合、飼っていた犬や猫がいなくなって、探している飼い主に知らせることが基本的な目的だ。都によると、迷い犬の7割近くは元の飼い主に引き取られているという。

 環境省は、こうした情報を全国どこでも共有できるよう、種別、推定年齢、性別、保護された時の状況など、データの内容に関する統一的な規格を作る。ある自治体のホームページを探しても見つからなければ、隣接する自治体のホームページに移って、自分の探す犬や猫を検索できるようにしてもらう考えだ。

 さらに、犬猫の引き取りにあたって、飼い主には、都道府県などが実施する飼育講習会への参加を義務づけ、しつけ方などをしっかり学んでもらう。不妊手術や個体識別のためのマイクロチップ埋め込みなどに関する指針も作成。行方が分からなくなっても困ることがないよう、飼い主にきちんと対策を講じてもらう。こうした取り組みを、環境省は来年度から2年間かけて進める予定だ。

 環境省の調べでは、2000年度に全国の動物愛護センターに保護された猫は約27万匹。犬もほぼ同数が保護されているが、計約50万匹のうち9割以上が引き取り手がないなどの理由で処分されたという。

[ 2003/11/12 読売新聞 ]
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 秀才ばかりじゃ生産性低下!?アリのエサ集め研究結果

 秀才ばかりの集団では、組織の生産性は低下する――。大阪府立大大学院工学研究科の西森拓・助教授らがアリの行動をコンピューターで再現したら、そんな結果が出た。エサ集めの下手なアリが集団内にいた方が、優秀なアリだけよりもたくさんエサが集まった。札幌市で開かれた日本動物行動学会で31日、発表した。

 アリはエサを見つけると、巣への帰り道に目印になる物質(フェロモン)を塗りつけ、他のアリはこの目印を触角でたどってエサ場に向かう。

 西森さんらは、目印に敏感なアリと感度が悪いアリの行動をコンピューターで再現。すると、感度の悪いアリがいる集団の方が、エサを効率よく集めた。

 優秀なアリは目印を忠実に追うため、エサを効率よく集めるが、目印に固執するあまり、新たなエサは発見しにくかった。一方、鈍いアリはうろうろすることで、エサを発見するチャンスが高まるらしい。ただ、実際にエサを集めるのはほとんどが秀才アリだった。

 西森さんは「特に状況の変化が著しいときには、人間でも手堅い秀才ばかりでは駄目なのかもしれない」と話している。

[ 2003/11/01 読売新聞 ]
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 SARS、ネコやフェレットでも感染 英科学誌に発表

 新型肺炎SARSがネコやフェレット(イタチ科の飼育動物)に感染して、健康な仲間にうつすことが確認された。オランダ・エラスムス医療センターのグループが30日発行の英科学誌ネイチャーに発表した。「薬やワクチン開発の実験に使える可能性がある」としている。

 香港の人間の患者から採取したSARSウイルスをネコ6匹とフェレット6匹に注射。のどの粘液を時間を追って調べたところ、2日目から10日間程度、ウイルスの遺伝子が検出され、ウイルスも採取された。フェレット1匹は4日目に死んだ。ネコは発熱や肺炎などSARS特有の症状を起こさなかった。

 さらに、健康なネコとフェレットを2匹ずつ、ウイルスを注射された各6匹と一緒に飼ったところ、4匹とも感染した。フェレットは2匹とも結膜炎を起こして3週間後に死んだ。ネコには症状が見られなかった。同グループは「SARSウイルスの自然界の宿主が複数の動物にまたがっている可能性がある」と指摘している。

 同グループは4月にSARSウイルスをサルに感染させることに成功しているが、日本の国立感染症研究所の実験ではほとんど感染しなかった。今後、ネコやフェレットが薬やワクチン開発の実験に利用できる可能性がある。

 一方、世界保健機関(WHO)の調べでは、SARSの集団感染が起きた香港の団地で飼われていたネコからもSARSウイルスの遺伝子が見つかっており、ネコが人での感染経路に関係している可能性が出てきたと言える。

[ 2003/10/30 朝日新聞 ]
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 ラッサ熱感染源のヤワゲネズミなど来月から輸入禁止

 厚生労働省は16日までに、感染症法で最も危険な感染症の1つに指定されている「ラッサ熱」の感染源となるヤワゲネズミと、狂犬病に似た「リッサウイルス感染症」などの感染源となるコウモリを、来月5日から全面的に輸入禁止にすることを決めた。

 ヤワゲネズミはマストミスとも呼ばれる西アフリカ産のネズミ。唾液(だえき)や尿などを通じて、人間がラッサ熱の原因ウイルスに感染すると、高熱を発し、死亡することもある。ヤワゲネズミの国内輸入数は不明。

 一方、コウモリにかまれるなどすると、筋肉や神経がマヒし、死亡することもあるリッサウイルス感染症にかかる恐れがある。同省によると、コウモリはペット用などとして、毎年少なくとも150匹以上が輸入されているという。

[ 2003/10/17 読売新聞 ]
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 捨て犬:犬を捨てた主婦を書類送検 犬が家に舞い戻り発覚

 大阪市鶴見区内の公園に飼い犬3匹を捨てたとして、大阪府警鶴見署は19日、同区内の飼い主の主婦(39)を、動物愛護法違反(愛護動物の遺棄)容疑で大阪地検に書類送検した。主婦は転居に伴い犬を捨てたが、3匹のうち2匹が旧宅に舞い戻り、発覚した。
主婦は「かわいそうなことをした」と反省しているという。同署によると、捨て犬の飼い主が判明するケースはきわめて珍しく、「賢い犬やなあ」と感心している。

 調べでは、今年7月6日、同区内の市営住宅から別のアパートに転居したが、転居先でペットの飼育が認められていないため、飼っていた犬の母子計3匹を捨てようと決意。同8日、同区内の公園に連れて行き、首輪を外して放し、自転車で振り切ってそのまま捨てた疑い。
3日後、3匹のうち子の2匹(雑種の雄と雌)が旧宅玄関前に座っているのを同じ市営住宅の住人が発見、拾得物として同署に届けた。2匹は愛犬家に引き取られたが、母犬(コリー種)は見つかっていない。

 主婦は「保健所で引き取ってもらえば殺処分される。ならば、誰かに拾ってもらったほうがいいと思った」と供述している。

[ 2003/09/19 毎日新聞 ]
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 海外産ペット、半数が飼育に反対…内閣府世論調査

 海外産ペットの飼育について、国民のほぼ半数が反対していることが、内閣府の「動物愛護に関する世論調査」で6日、わかった。動物を通して海外から病気が入り込んだり、移入種が国内の生態系を乱す恐れがあることに理解が広がってきたことが裏付けられた。

 調査は、今年6―7月、全国の20歳以上の男女3000人を対象に行われ、回収率は73・4%だった。

 海外から持ち込んだ野生動物(移入種)の飼育について、「個人の責任で自由に飼ってもよい」と回答したのは13・7%。一方、「規制により問題ないものに限定」が29・4%、「飼うべきではない」が49・7%だった。

 さらに、反対理由を複数回答で聞いたところ、「人への危害や農作物への被害が生じる恐れがある」が59・9%で最も多く、2000年の前回調査と比べると、7・3ポイント増えていた。ほかに、「外国から新しい病気を持ち込む恐れがある」が46・1%(同11・9ポイント増)、「生態系への悪影響」が40・6%(同8・2ポイント増)などと、海外産ペットの「負の側面」への理解が急速に広がっている。

 ◆海外産ペット=環境省の報告では、ほ乳類から両生類まで、年間推定400万頭が輸入されている。カメなどの爬虫(はちゅう)類が半数を占める。飼いきれずに逃がすケースも多く、在来種を駆逐したり、人間の病気の感染源としても心配されている。

[ 2003/09/07 読売新聞 ]
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 飼い猫に首輪義務づけ 山口市が条例案提案ヘ

 飼い猫には首輪の装着を義務づけ、ふんの放置には罰金を科す――。
山口市は犬猫のふん害対策などを盛り込んだ条例案を8日開会の市議会に提案する。
犬猫のふん放置に罰金を科す自治体はあるが、飼い主が分かるように猫に首輪を義務づけるのは「あまり例がない」(環境省動物愛護管理室)という。

 「山口市の生活環境の保全に関する条例」との名称の条例案は、飼い猫について「首輪を装着するなど、飼養していることを明らかにする措置を講じる」と定めた。
また、犬だけでなく、猫についても「飼養するねこのふんなどで、公共の場所または他人が所有する土地、建物などを汚さない」と規定。市長の勧告や命令に違反すれば、最高2万円の罰金が科せられる。犬については04年4月、猫は05年4月の施行を目指している。

 また、野良猫に餌を与えると飼い主として扱われる、との内容も盛り込んだ。市環境保全課は「『野良猫に餌を与えないで』ということを暗に示している」と話している。

 同課は「市に寄せられるふん害の苦情は減らなかったため、ルール化せざるを得ないと判断した。(条例で)飼い猫と野良猫を区別し、野良猫が増えないようにするなどの対策も考えていきたい」と話している。

[ 2003/09/02 朝日新聞 ]
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 用水路にワニ、逃げたか飼い主が捨てたか…岐阜

 24日午前9時50分ごろ、岐阜県養老町の住民から「近くの用水路にワニがいる」と110番通報があった。養老署員が現場に駆けつけたところ、体長約150センチのワニが泳いでいた。署員と町役場の職員10人が、犯人を捕まえる際に使うY字型の「さすまた」という道具を使い、約2時間半後に捕獲、おりに入れ、保健所へ運んだ。

 調べでは、ワニの種類や雄雌はわからないが、ペットが逃げ出したか、飼い主が捨てた可能性もあるとみて所有者を探している。

 現場の用水路は、幅1メートル、水深約15センチで、名神高速道路・養老サービスエリアから東へ約1キロほど離れている。

[ 2003/08/23 朝日新聞 ]
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 「新車を買えば子犬贈呈」企画の中止申し入れ 愛護団体

 北海道帯広市の車販売会社ネッツトヨタ帯広が、新車契約のプレゼントとして子犬を用意した。
動物愛護団体が22日、「動物をモノ扱いし、青少年に誤った生命倫理観を植え付ける危険性が高い」として中止を申し入れた。
申し入れを受けた同社は、車の注文書に子犬の「代金」を書き込むことにしたほか、客から「大切に育てる」との念書をもらい、社員が定期的に子犬を見回るなどの対応をとることにしたという。

 ネッツトヨタ帯広によると、このイベントは23、24の両日、傘下の8店で実施する。新車契約を結んだ客へのプレゼントとして、テレビやコメなど計10品目の一つとして子犬5匹を用意したという。

 同社の広告を見た人からNPO法人の動物愛護団体「動物実験の廃止を求める会」に連絡があり、同会が中止を申し入れた。

 同社の佐藤利春・営業副本部長は「子犬はきちんと管理しており、動物虐待にはあたらない」と話している。

[ 2003/08/24 読売新聞 ]
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 介助犬2頭、公共施設への立ち入りOK 全国初の認定

 障害者の生活を助ける介助犬や聴導犬の認定機関「横浜市リハビリテーション事業団」は31日、全国で初めて、身体障害者補助犬法に基づく障害者と介助犬のペア2組を認定した。
駅など公共施設への犬同伴の立ち入りが法的に可能になる。

 認定を受けたのは、神奈川県厚木市の清水れい子さん(44)とメスのラブラドルレトリーバー「シーナ」(7)、千葉市の山口亜紀彦さん(31)と同「オリーブ」(3)。2人は事故などで車いす生活となり、数年前から介助犬と暮らす。7人の専門家が動作など7項目をチェックした。

 厚生労働省によると現在、2頭のようにすでに障害者と一緒に暮らす「暫定犬」として35頭の介助犬と15頭の聴導犬の届け出があるという。

[ 2003/08/01 朝日新聞 ]
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 イノシシの内臓肉を生食、E型肝炎で1人死亡

 シカの生肉を食べた兵庫県の4人と、イノシシの内臓肉を生で食べた鳥取県の2人がE型肝炎に集団感染し、うち1人が死亡していたことがわかった。野生動物からE型肝炎に感染したことが突き止められたのは世界でも初めて。

 こうした事態を受け厚生労働省は1日、野生動物の肉の生食に対して注意を呼びかける通知を都道府県などに出すことを決めた。またE型肝炎ウイルスを持っている動物がどの程度いるか把握するための全国調査も検討している。

 兵庫県の患者は、知人から入手したシカ肉を2月下旬に生で食べた、40―60歳代の父子3人と友人の1人。4月になって発熱、おう吐などの症状が現れ、肝機能も低下。同県の加西市立加西病院で検査した結果、4人ともE型肝炎と診断された。E型肝炎は慢性化することはなく、この4人はその後、回復した。

 冷凍庫に食べ残しのシカ肉が保存されていたため、東芝病院(東京)の三代(みしろ)俊治研究部長らが分析。患者から検出されたウイルスと遺伝子が全く同じE型肝炎ウイルスが見つかったため、このシカ肉が感染源と断定された。

 また鳥取県ではイノシシの内臓肉を生で食べた2人がE型肝炎になり、1人が劇症化して死亡した例が最近になって確認された。報告を受けた厚生労働省監視安全課は「ウイルスは加熱すれば死ぬが、野生動物の肉の危険性は全くわからないのが現状。早急に実態調査を実施したい」としている。

[ 2003/08/01 読売新聞 ]
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