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◆ 犬フィラリア症(糸状虫症)について ◆


愛すべきあなたのワンちゃんの生命・健康を脅かす感染症の代表的なもので、平均寿命を 下げている大きな原因の一つです。
ワクチンによる予防は出来ませんが、予防法が確立されているので充分な対応措置を取ることが可能です。

◆ フィラリア?フィラリア症? ◆
◆ フィラリア症の症状と治療 ◆
◆ 感染経路とライフサイクル ◆
◆ 感染期間(神奈川県地域) ◆
◆ フィラリア症の予防薬(内服) ◆
◆ 予防薬の投与時期と効き方 ◆
◆ フィラリア症の予防薬(注射) ◆




フィラリアって何? フィラリア症って何?
フィラリア成虫(オスとメス) フィラリア(犬糸状虫)は蚊の媒介により犬の心臓や肺の血管に寄生し、血液中の栄養分を吸って生きている、そうめん状の長さ17〜28センチの寄生虫の名前です。

そのフィラリアの寄生により心臓・肺はもちろんのこと肝臓・腎臓などにさまざまな異常をきたすようになります。

それがワンちゃんにとって大変恐ろしい病気であるフィラリア症です。

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フィラリア症の症状と治療
フィラリアが感染して起こるフィラリア症はそのほとんどが慢性経過をたどりますが、時には重篤になることが多い急性症もあります。

急性症は大静脈症候群とよばれ、慢性経過の途中でフィラリアが移動するために、突然、赤ワインのような色の尿(血色素尿)と呼吸困難・虚脱などの循環不全を主とした激しい症状を示すものです。
この場合、何もしないと数日の内に死にいたることが多いので、速やかにフィラリア成虫の摘出手術を受ける必要があります。

慢性症の場合、フィラリアが寄生していることと、分泌物や排泄物により起こる肺高血圧症が主たる原因となり、二次的にさまざまな症状を示す心臓病となります。
心臓の機能が充分でなくなることで全身の臓器がうっ血状態になり、肝臓・腎臓・肺などの重要臓器が機能不全を引き起こすようになります。これらの病変は通常治療しても元のようには戻らない不可逆性のことが多く、最終的には死にいたることもあります。

ゼーゼーした咳をする、運動を嫌がる、痩せてきた、貧血気味になってきた、腹囲が大きくなってきた(腹水)、失神することがある、などは上記の病変が進行していることを示しているので、早期の対象療法が必要です。

フィラリア成虫に対しては、外科手術による摘出と内科的に薬剤で駆除する方法があります。

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フィラリアの感染経路とライフサイクル(生活環)
フィラリア(犬糸状虫)に感染している犬の体内にはフィラリア成虫と、
成虫が産出し、血流にのって体中のいたるところに存在している、
子虫(ミクロフィラリア)がいます。



そのミクロフィラリアは蚊が吸血したときに蚊の体内に入り、
約2週間後感染能力のある感染幼虫にまで発育します。



感染幼虫を持った蚊がほかの犬を吸血するとき、
幼虫が皮膚から侵入して感染します。



犬の体に入った幼虫は2〜3ヶ月かけて皮下、筋肉内で成長し、
2センチ程度の体長になります。



その後、血管に侵入して心臓や肺動脈に寄生し、
なおも発育を続けて3〜4ヶ月後、
成虫となり子虫を産出し始めます。

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大型犬の心臓模型    小型犬の心臓模型
心臓・肺動脈内のフィラリアの状態(大型犬模型)   心臓・肺におけるフィラリアの状態(小型犬模型)


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フィラリアの感染期間(HDU概念に基づく)
フィラリア症予防薬はいつからいつまで飲ませたら良いのでしょう。

一年を通じて予防薬を投与するのでしたら何も考えることはありませんが、最小の投薬期間で確実に予防するためには、感染開始と終了時期を知る必要があります。

そこでHDU(Heartworm Development heat Unit)の概念が生じてきました。

これは、フィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリアが感染幼虫に発育するのに必要な積算温度の単位で、それによりフィラリアの感染開始と終了時期を算出するのです。

このHDUにより算出された、神奈川県(横浜)のフィラリア感染開始日と感染終了日の、過去14年間分(2002〜2015)の記録によると。

もっとも早い感染開始日は5月 9日

もっとも遅い感染開始日は5月28日

もっとも早い感染終了日は10月20日

もっとも遅い感染終了日は11月 6日

となっています。
2016年3月 UP

《 上記より以前のデータはこちら 》


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フィラリア症の予防薬(内服)
現在使用されているフィラリア症予防薬(内服)には、ある期間、毎日または1日隔日で投与していくものと1ヶ月に1回ずつ投与していくもの、という大きくわけて2種類があります。

これらは、蚊の吸血によって犬の体内に侵入した感染幼虫が血管内から心臓内に到達する前に、すなわち感染後約2ヶ月までに幼虫を殺滅することでフィラリア症を予防しているのです。

幼虫が血管または心臓に入ってしまうと、これらの予防薬の効果は得られません。

特に現在主流として使われている
1ヶ月に1回ずつ投与していくタイプのフィラリア症予防薬について、
「投与後1ヶ月間効果が持続してフィラリアの感染を防いでいる」
との誤解もあるようですが、このタイプの予防薬も上記のように、
感染幼虫を殺滅することでフィラリア症を予防しているのであって、
フィラリアの感染を防いだり、ましては蚊を寄せつけなくする、
といったものではありません。


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フィラリア症予防薬(月1回タイプ)投与とその効き方
現在フィラリア症予防薬の主流として使われている、月1回投与タイプの投与時期とその効き方について、投与モデル表を使ってご説明します。(7回投与の場合)
最近の温暖化傾向により蚊の発生期間の延長があるので、
年間投与回数を6回から7回に増加させた場合の投与モデルです。03/6/2



















《 下記の表の説明です 》



:投薬日 A ← @ → の期間に感染したものは
投薬日 A 一日ですべて殺滅する

← @ →

投薬前 約
15〜60日


▼は投薬した日をあらわし、同色の左記の期間に感染した(蚊の媒介によって犬の体内に入ってしまった)感染幼虫に対して
100%の殺滅効果を示します。
逆に言うと、15〜60日前に犬の体内に入った感染幼虫を殺滅できるのが月1回投与するタイプのフィラリア症予防薬ということになります。



4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月 12月












































上記の投与方法で、この期間に感染した
フィラリア幼虫をすべて殺滅させたことになる















上記の投与モデルでは7回の投薬の積み重ねで、
4月中旬〜11月末の間に感染した感染幼虫をすべて殺滅
したことをあらわします。

このタイプの予防剤は「投与後1ヶ月間効果が持続してフィラリアの感染を防いでいる」のではありません。

犬の体内に入ってしまった感染幼虫がいた場合、血管または心臓内に入ってしまう前に残さず殺滅することによって、フィラリア症を予防しているのです。

血管または心臓内に入ってしまった幼虫に対して予防薬の効果は得られません。


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フィラリア症の予防薬(注射)
年一度の接種で効果のあるフィラリア症予防注射があります。
詳しいことはお問い合わせください。

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愛犬家の皆様方はフィラリア症というのは愛犬にとってとても恐い病気であるという認識が充分あり、知識もお持ちになっているのですが、お話をしていると 時折、誤解されていたり、理解されていないのでは?と思われることがあります。 正しい知識を持つことが正しい予防への近道と思います。
心配な点、良く解らない点などありましたら、遠慮無く我々獣医師にご質問ください。



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HDU(Heartworm Development heat Unit)の概念
HDUとはフィラリアを媒介する蚊の体内でミクロフィラリアが感染幼虫に発育するのに必要な積算温度の単位です。
計算式は以下のようになっています。

1日HDU = 日平均気温{(日最高気温+日最低気温)*1/2 }-臨界温度(14℃)
例えば、ある日の最高気温が21℃、最低気温が13℃であったとします。
この日の1日HDUは、(21+13)*1/2-14=3 と計算され、「3」となります。
次の日は「5」、次の日は「4」であったとすると、3+5+4+・・・・・としていき、この積み重ねが130となる日が感染開始日になります。
HDUがマイナスになるときは「0」とします。
感染終了日は、30日間でのHDUの積算が130となる最終の日とされています。
これには蚊の種類、活動時期や寿命なども考慮する必要がありますが、基本的にはこの計算方法で概ね対応できると考えられています。

HDU概念により算出した神奈川県地域の
20年間のフィラリア感染開始日と感染終了日
2009年4月 UP
感染開始日 感染終了日
1989年 5月26日 10月24日
1990年 5月20日 11月 3日
1991年 5月20日 10月28日
1992年 5月25日 10月23日
1993年 5月28日 10月25日
1994年 5月18日 11月 7日
1995年 5月20日 11月 3日
1996年 5月29日 10月24日
1997年 5月16日 11月 1日
1998年 5月 6日 11月 8日
1999年 5月17日 11月 5日
2000年 5月21日 10月31日
2001年 5月16日 11月 1日
2002年 5月20日 11月 1日
2003年 5月20日 10月19日
2004年 5月11日 10月27日
2005年 5月21日 11月 2日
2006年 5月26日 11月10日
2007年 5月17日 11月 2日
2008年 5月23日 11月 6日

日本糸状虫症研究会 ・ 犬フィラリア症予防普及会

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