必要以上にこわがることはありませんが、人と共通したワンちゃんネコちゃんの感染症はいろいろあります。
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◆ トキソプラズマ病 ◆ |
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◆ 狂 犬 病 ◆ |
◆ 回 虫 症 ◆ |
◆ サルモネラ菌症 ◆ |
◆ キャンピロバクター ◆ |
◆ レプトスピラ病 ◆ |
◆ その他の人獣共通感染症 ◆ |
トキソプラズマ病について | ||
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原因と感染源 | ||
トキソプラズマという原虫によって起ります。
この原虫は、ヒト、イヌ、ネコ以外にもブタ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、ネズミ、さらに多くの野生動物に至るまで広く分布しています。 人の健康検査では、普通人がすでに数%も感染して、しかも何ら障害がないことがわかっています。 ネコは糞の中にトキソプラズマを排泄し、これが人体に入って感染を起します。しかし前にも述べたように、感染してもかならずしも発病するとはかぎりません。 またイヌは感染源になる可能牲はネコに比べて少ないと考えられています。 むしろトキソプラズマの感染は、食肉(生の豚肉)からの機会の方が多いように考えられています。 |
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症 状 | ||
呼吸器や消化管の異常に基づく症状が見られることもありますが、症状が現われないことも少なくありません。 |
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予 防 | ||
すでに免疫がある婦人から生まれてくる子供は、先天性トキソプラズマ病になるということはまずないといっていいでしょう。
したがって十分な注意は必要ですが、極端に神経質になる必要はないのです。 要するにペットを衛生的に飼い、糞尿の始末を清潔に行い、ペットの健康に注意すれば感染の危険を防ぐことができましょう。 |
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狂犬病について | ||
原因と感染源 | ||
ウイルスによってヒトやペットをはじめ多くの動物に感染する不治の病です。
このウイルスは、動物の唾液に出て咬傷によって感染します。 |
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症 状 | ||
狂犬病にかかった動物は、一時狂ったようになり見さかいなく物を咬みます。また沈うつの症状を示すものもあります。
ほとんどは咬むようになってから一週間前後で死にます。 ヒトの場合潜伏期間は15〜60日とされ、発病すればすべて4〜5日で100%死亡します。 人獣共通感染症の中で最も恐ろしく悲惨なものといわれています。 |
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予 防 | ||
一般に狂犬病をまん延させるのは、野犬や野生動物によることが多いものです。
わが国では狂犬病の予防接種や野犬の捕獲が励行され、感染源になる野生動物が少なく、またペットの管理が比較的清潔である上に、 海外からの侵入を防ぐ検疫が十分行われているため、昭和31年以来本病が発生していません。 したがって現在はイヌやネコから狂犬病がうつされる可能性は、皆無に近いといわれています。 しかしイヌの咬傷事故や狂犬病発生国からの輸入動物が多いので、常に十分な管理と予防接種が必要といわれています。 |
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・・・ 狂犬病ウィルスの終末宿主は人です ・・・ | ||
日本では1957年以降、ヒト、イヌともに狂犬病の発生はありません。ただ、1970年にネパールに旅行した日本人が現地で感染犬に噛まれ、帰国後発病し、死亡した例があります。
2006年にフィリピンで感染犬に噛まれ、帰国後発病したという例が、実に36年ぶりに、横浜市で一名と京都市で一名の計二件ありました。 特に、多くの日本人が観光等で旅行している、東南アジア、インド等の途上国では、媒介動物は殆どがイヌで、感染している野犬も多く、感染に暴露する可能性は高い。また、欧米の先進国では、キツネ、アライグマ、コウモリ、スカンク、ラクーン等の野生動物から人へあるいは、それらからイヌ、ネコを介して間接的に人に伝播される可能性があります。 狂犬病は日本、ハワイ、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランド、及びスカンジナビア諸国等には存在していないが、これらの地域を除いては、広く常在しています。 下図は世界の狂犬病発生状況です。(2001年1月現在 )
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回虫症について | ||
原因と感染源 | ||
イヌの回虫症は子犬に多くみられる病気ですが、この犬回虫の幼虫が人間の口から入り込んで種々の障害を起すとされています。
とくに子供にみられるものです。 |
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症 状 | ||
幼虫が人間の身体の中を動きまわるために、筋肉や肝臓あるいは目や脳に障害を与えるといわれています。 |
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予 防 | ||
糞便から人間にうつるわけですから、イヌの糞便の処理を十分に行うことが必要です。
全てのイヌから感染するということではないので、それほど心配することはありませんが、子犬を飼うときは、いつも清潔にしておくことが、感染を予防する上からも大切です。 |
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サルモネラ菌症について | ||
原因と感染源 | ||
この病気はサルモネラ菌によって起ります。
サルモネラ菌にはいろいろな種類があり、イヌやネコばかりでなくネズミやカメに至るまで、多くの動物に分布しています。 ヒトでは主に食中毒や腸炎を起します。 |
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症 状 | ||
イヌはサルモネラ菌を持っていても、比較的症状を示さないことがありますが、この場合でも菌は体外に排泄されています。 |
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予 防 | ||
イヌを清潔な環境に置くこと、ゴミなどをあさらせないこと、糞便を完全に始末することなどが、サルモネラ菌の人間への感染を防ぐ方法といえましょう。 |
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キャンピロバクターについて | ||
原因と感染源 | ||
キャンピロバクターという細菌によって起る食中毒です。 |
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症 状 | ||
この細菌の侵入によって、イヌやネコは下痢を起しこれが人間の口に入って人間も同様な下痢症を起すとされています。 |
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予 防 | ||
イヌやネコの糞から人間が感染するわけですから、糞便を確実に処理することが、予防につながります。 |
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レプトスピラ病について | ||
原因と感染源 | ||
この病気はレプトスピラという原虫によって感染が起ります。 |
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症 状 | ||
イヌが感染をしても症状を現わさないことが多いのですが、まれに、腎臓や肝臓に障害があらわれることがあるとされています。
口や傷口からこの菌が入りヒトも同様な症状を起すことがあるといわれています。 |
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予 防 | ||
ワクチンによって予防できます。
もしイヌの尿中にレプトスピラが存在する場合があるとすれば、尿が直接ヒトの口や皮膚につかないように常に清潔に飼うことが大切です。 予防注射によってその発生は実際にはかなり低いとされていますので、あまり心配することはないようです。 |
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その他の人獣共通感染症について | ||
ある種の皮膚病 | ||
イヌやネコの皮膚病のうちで、真菌や疥癬虫によるものはヒトに感染することがあります。
したがってイヌやネコだけでなく飼主様にも皮膚病が出た場合、この点を良く確かめることが必要です。 |
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パスツレラ症 | ||
パスツレラウィルス感染動物に咬まれたり、キスなど直接接触により感染する。 ヒトでは局所の疼痛、発赤、腫れなどの症状が出る。 |
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ブルセラ症 | ||
ブルセラ菌に感染して流産した胎児などと接触して感染する。 ヒトでは悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が出る。 |
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ライム病 | ||
感染動物を吸血したマダニに刺されることで感染する。 ヒトでは輪郭の明瞭な紅斑、関節炎などの症状が出る。 |
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犬糸状虫症(フィラリア) | ||
感染動物を吸血したカに刺されることで感染する。 ヒトでは咳、発熱、胸痛などの症状が出る。 |
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瓜実(ウリザネ)条虫症 | ||
感染幼虫を持つノミの摂取で感染する。 ヒトでは通常は無症状ですが、小児では消化障害がみられる。 |
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疥癬(カイセン) | ||
感染動物との直接接触で感染する。 ヒトでは皮膚の痛み、痒み、丘疹などの症状が出る。 |
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ノミ咬症 | ||
感染動物との直接接触や環境中の繭(中に成虫が潜む)から感染する。 ヒトでは皮膚の痒み、赤疹などの症状が出る。 |
人と共通したワンちゃんネコちゃんの伝染病はいろいろありますが、必要以上にこわがることはありません。
清潔で適切な方法で飼育していれば、ほとんど問題ありません。 |